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オーストリア物語 49
〜オーストリアが誇る由緒正しき磁器窯「アウガルテン」


 数多くの優れた陶磁器を抱えるヨーロッパだが、オーストリアにも女帝マリア・テレジアの狩猟の館として使われていた「アウガルテン宮殿」敷地内に窯を構える「ウィーン磁器工房 アウガルテン」がある。

 このアウガルテンは、ハプスブルク家が栄華を極めた1718年に、皇帝カール6世が皇室と貴族のための磁器製作をオランダ出身の武官、デュ・パキエに命じたことから始まった工房で、ヨーロッパの窯ではドイツのマイセンに次いで2番目に古く、280年以上の歴史を誇っている。

 1744年には、マリア・テレジアの勅命により皇室直属の磁器窯となり、その時に与えられたハプスブルク家の盾型の紋章が、「インペリアル ・ウィーン磁器工房 アウガルテン」のシンボルとなった。現在でもアウガルテン製品の裏には、コバルトブルーでこの紋章が刻印されている。

 1864年には、ハプスブルク家の衰退や安価な大量生産品に押され、ひとたび閉鎖に追い込まれるが、1924年、ウィーン郊外にある現在の所在地に工房を移して復活。変わらぬ人気に応え、現在も一つひとつ、昔ながらの手作りの製品を生み出している。ヨーロッパ広しと言えども、工房内で粘土を調合・熟成させるところから磁器を製作しているのは、ここアウガルテンだけだ。

 現在のアウガルテンのラインナップは200パターン、11,000アイテム。その代表的なものが、アウガルテン宮殿でのディナー用に贈られた花柄のシリーズで、当時の狩猟のシンボル・モミの木にちなんだ緑色で彩色された「マリア・テレジア」。 この他にも、透き通るように美しい白磁にピンクのバラが愛らしい 「ウイーナーローズ」(ウィーンのバラ)、小さなバラがちりばめられた「ビーダーマイヤー」なども多くのファンを引き付けている。

 アウガルテンの工房では、見学ツアー(ドイツ語のみ)を催行。成形・絵付けなど、それぞれの専門の職人が駆使する熟練の技には、思わずため息がこぼれる。また、併設のショールームには、貴重なコレクションの数々が展示されている。

 ウィーン郊外までは足を延ばせないが、自宅でアウガルテンを楽しみたいという人は、シュテファン大寺院広場からグラーベン通りに入った左側にある直営ショップへ行ってみよう。品ぞろえも豊富で、割安に購入できる。アウガルテンは、世界で初めてコーヒーカップを磁器で製作した窯。コーヒーファンの人は、アウガルテンのカップで、コーヒーブレイクを楽しんでみよう。


情報提供:オーストリア政府観光局
最終更新日:2006年4月11日
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