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スペイン歴史芸術遺産の宝庫 | ||
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「銀の道」 | ||
「銀の道」とは、アンダルシア州のセビーヤとカンタブリア海に面した町、アストゥリアス州のヒホンを結ぶ、ローマ時代に造られた全長816キロの街道のこと。イベリア半島を横断するこの街道は、かつて半島のほぼ全域を支配していたローマ人の主要軍用道路として、またスペイン北部で採掘された金・銀などの鉱物やワイン・農産物をローマへの玄関口であったセビーヤの港へ運ぶ交易道路として使用された。 ローマ帝国撤退後、西ゴート、イスラム教徒の支配下に入った後も、この「銀の道」は主要幹線道路として残され、現在ではこれらの民族が残した歴史的遺産を多く目にすることができるルートの一つとなっている。また、このルートのおよそ3分の1を占めるエクストレマドゥーラ州には、ローマ遺跡が多く残され、またグルメファンをうならせる食材にも欠かない秘境の地となっている。今回は、銀の道が通る町とパラドールをセットで紹介しよう。 | ||
セビーヤ 〜スペイン屈指の観光地、アンダルシア州の玄関口 | ||
大聖堂、アルカーサル、インド古文書館の一画が世界遺産として有名なセビーヤ。セビーヤから「銀の道」沿いに8キロのサンティポンセの町にはイタリカのローマ遺跡があり、当時の円形劇場が残っている。また、ローマ遺跡は「銀の道」から少し東に外れたところにあるカルモナの町でも発見されている。かつてのカスティーヤ王ドン・ペドロの宮殿であったカルモナのアルカーサルは、現在パラドールとして人気が高い。 | ||
メリダ 〜数多くのローマ遺跡が残る世界遺産指定都市 | ||
「小ローマ」とも称される町メリダは、紀元前25年ローマ帝国の属州ルシタニアの首都として建設された。当時はトレドとリスボン、そしてサラマンカとセビーヤの両ルートの接点として大いに栄えたのが、小ローマと呼ばれた由来だ。ローマ時代の輝かしい遺跡の数々は、その歴史の奥深さを物語っている。6000人が収容できる劇場は、舞台の後方に大理石の柱を神殿風に配置され、舞台に向かって半円形の客席が並ぶ豪壮な作りになっている。現在は、毎年夏に「メリダ古典演劇祭」の会場としても使用されている。その他、円形競技場やローマ橋などの古代遺跡群は、世界遺産に指定されている。 | ||
カセレス 〜中世にタイムトリップしたかのような世界遺産指定都市 | ||
中世の佇まいをそのままに残す城壁の町カセレス。古い街並みが多く残るスペインの真骨頂とでも言える、城壁に囲まれた旧市街は、1986年に世界遺産に登録された。点在する5〜16世紀の貴族の館の中でも珍しのが、現在は図書館として使用されている外壁に猿が彫りこまれている「猿の家」。また、学生の街としても知られ、夏祭りや秋の音楽祭、中世演劇祭なども人気が高い。ここには、14世紀の宮殿を改装したパラドールがある。旧市街地の中心に位置するパラドールは、観光にも便利だ。 | ||
サラマンカ 〜多くの留学生が学ぶ世界遺産指定都市 | ||
1218年に大学が創設され、以後ヨーロッパ屈指の大学のある町として隅々にアカデミックな雰囲気が漂う「銀の道」の主要都市。 旧市街地は世界遺産にも指定されており、スペイン・バロック建築の最高峰の一つであるマヨール広場をはじめ、大聖堂、貝の家は必見だ。旧市街地の外の高台にあるパラドールの部屋の窓からは、トルメス川を挟んだ旧市街の街並みが一望できる。夜景は特にロマンチックだ。 | ||
サモラ 〜町全体がロマネスク様式の博物館 | ||
16世紀のロマネスク様式宗教建築物や宮殿が多く残る、城壁に囲まれた町。中でも素晴らしいのが、伝統的なビサンチン様式の円屋根を持つ大聖堂だ。サモラから約25キロ西に行くと、そこは地場品種ティンタ・デ・トロ(テンプラニーリョ)のブドウを使った濃厚な赤ワインで有名なDO(原産地呼称)トロの産地で、多くのワイナリーがある。 | ||
アストルガ 〜ガウディの司教館とチョコレート美術館のある町 | ||
レオンの近郊に位置するアストルガは、小さいながら、つい寄り道したくなる魅力が詰まった町だ。15世紀から20世紀にかけて建てられたサンタ・マリア大聖堂はファサードの彫刻が見事で、その大きさに圧倒される。現在、巡礼者博物館として一般に公開されているガウディが建てた司教館は、一見簡素な印象ながら、所々にガウディらしさが見られる。また、アストルガのチョコレート産業の歴史をまとめたチョコレート博物館も必見だ。 | ||
レオン 〜「サンティアゴ巡礼の道」と「銀の道」の交差点 | ||
古代ローマ軍が野営地を設置したのが起源となり、中世期にはレオン王国の首都として栄えた町。市街地には、当時の面影が至るところに残されている。見どころは、ステンドグラスが美しい大聖堂とロマネスク時代の素晴らしい天井画が残るサン・イシドロ教会。また、カラフルでモダンな外観のカスティーヤ・イ・レオン現代美術館も、町の新たな名所となっている。 街の北西の端には、サンティアゴ巡礼者の救護施設でもあった、かつてのサン・マルコス修道院があり、現在はプラテレスコ様式が美しい5ツ星のパラドールとして人気を集めている。 | ||
ヒホン 〜文化遺産と美しい自然の景観が融合する町 | ||
「銀の道」の最北端にある最終地点。カンタブリア海が広がるアストゥリアス州の沿岸部中央に位置する美しい港湾都市だ。ローマ時代の史跡から近代建築まで豊富な建造物を見物だけでなく、ビーチでのんびりすと過ごすのも良いだろう。ビーチにほど近いイサベル・ラ・カトリカ公園にあるパラドールは、古い水車小屋を改装したもので、緑と水の溢れるリラックスした空間だ。 | ||
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「銀の道」寄り道グルメ情報 ★ イベリコ豚の白い村「モネステリオ」 「銀の道」のセビーヤとメリダの間にあるバダホス県のモネステリオの町は、生ハムの生産地として有名だ。デエサと呼ばれる樫の木の原生林の中で放牧されて育ったイベリコ豚は、地元の工場で生ハムや腸詰に加工される。 9月の第2土曜日は「生ハムの日」と称し、生ハムのカッティング・コンクールや試食会、ワークショップなど生ハム関連の様々なイベントが開催されている。モネステリオへは、セビーヤから約2時間に1本の割合で運行されているLEDA社のバスを利用し、約1時間。 ★ カサール・デ・カセレスの名物「チーズトルタ・デル・カサール」 カセレスの町から銀の道を17キロ北上すると、チーズの名産地カサール・デ・カセレスに到着する。ここに行ったら是非味わっておきたいのが「トルタ・デル・カサール」だ。日本語で「カサールのタルト」を意味する厚みのあるこの丸型チーズは、上の表面部分を水平に切り抜いて蓋のように取り除くと、中からトロトロのチーズが現われる。地元で育った羊の生乳を発酵させ、天然植物を凝固剤に使うという独特な伝統手法で作られるナチュラルでコクのあるチーズだ。 |
◇ 掲載の内容は予告なしに変更されることがありますのでご注意下さい ◇ 情報提供:スペイン政府観光局 掲載開始日:2008年10月31日 最終更新日:2008年10月31日 |
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