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カナディアン・ロッキー エコツアー案内 T

金剛寺 拳


世界遺産・カナディアン・ロッキー山脈公園は、山麓の深い針葉樹林帯から亜高山草原を経て、岩場から稜線へと続くダイナミックな景観が特徴だ。

原生林の中に密かに佇む青い湖、野生の花に彩られた山道が数多くあり、そのハイキング・トレイルは数百にも及ぶ。ロッキーの町の中でも人気急上昇のキャンモアを基点としたハイキング案内を連載の始めとしてとりあげたい。

 

3峰が綺麗に並んだスリー・シスターズ

 
ロッキー山脈の歴史

 コース紹介の前に、ロッキーについて説明しておこう。
 ロッキー山脈は、北はアラスカから南はアメリカ、メキシコまで約4500キロにも及ぶ北米大陸の背骨のようなものである。そのうち、カナダ側は1450の長さがあり、幅は150キロ〜200キロである。

 ロッキーの基礎となるのは、15億年前の北米西海岸沿いの海底地層だ。2億年前から7500年前の間に起きた地殻変動により大陸のプレートが圧縮された。その結果、海岸沿いの海底に堆積した水成岩が隆起して、現在の山脈が誕生した。

 さらに、その後の氷河期には、厚さ4000メートルの氷が山頂を覆った。やがて、氷河侵食がおこり断崖絶壁や切り立った峰が形成され、現在のロッキーの姿になったというわけである。山の残雪や新雪が横縞模様になることから、海底の地層であったことがよく分かる。

 1870年の小氷河期を境として地球温暖化により氷河は年々後退をしている。
カナディアン・ロッキーにはバンフ、ジャスパー、ヨーホー、クートニー、ウォータートンレイクの5つの山岳公園があるほか、マウント・アシニボイン、ピーターローヒード、マウント・ロブソンなどの州立公園がある。


自然保護への政策

 これらの国立公園内では、自然を守るためにさまざまな取組みが行われている。その一つとして、オーバーユース(過剰使用)による自然破壊を防ぐためのシステムの導入がある。

 たとえば、バンフ国立公園内の山小屋は、カナダ山岳会と国立公園公安官が常駐する山小屋以外は、私営の小屋は3つだけである。 私営であっても、一定期間が過ぎると政府の監査が入り違法がないかチェックされるということだ。

 ロッキーは5段階のゾーンに区分けされている。最も多いのはソーン2の「原生自然区域」で、公園の約90%を占める。このゾーンでは自動車の乗り入れ禁止をしており、利用者を分散させる管理方式がとられている。

 これから紹介する日帰りハイキングコースなどは、ゾーン3の「自然環境区域」とゾーン4の「野外レクレーション区域」を使用することになる。


ロッキーの滞在拠点キャンモア

 さて、ロッキーを歩くための拠点だが、有名なバンフの近くにあるキャンモアを選びたい。 ここからは、放射状に幾つかの州立公園にアクセスがし易いからだ。15年ほど前には3000人足らずだった町の人口が今や1万人を越える人気ぶりだ。町からは3峰が綺麗に並んだスリー・シスターズ(写真中央)が朝日を受けて輝くさまが良く見える。


町外れからグラッシー・レイクへ


 カナナスキス・カントリーへの道路を上がっていくと、カルガリー・オリンピックで使われたノルディック・コースが左に現れる。その先の道を左に下っていくと広い草原に出る。そこからは緩い登り道になり左手に滝が見えてくる。

 さらに、やや急な道を登りきると鮮やかな緑の絨毯を敷き詰めたようなグラッシー・レイク(写真左)に至る。トレイル・ヘッドから2時間余りの手軽なハイキングコースとして紹介したい。