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トラベルライターによるホットな現地情報
<No.15>フィジー


おしゃれで快適なフィジーのエコリゾート
クストーのジュニアが創った南の島の楽園

 一時緊迫した空気に包まれたフィジーの政治情勢も、大分落ち着いてきた。この8月にはフィジーの政府観光局により、現地の安全状況を確認するための日本の旅行業界向けの視察ツアーも行われ、南の島に再び平和が戻り初めていることをアピールした。観光客が戻りつつあるフィジーの表情を紹介しよう。

井上 理江 (トラベルライター)


■フィジー第2の島バヌアレブ島の東端に位置するダイブスポット

客室は華やかな南国らしい色合い。
カラフルなベッドカバーが美しい
 フィジーは多様な人種が共存する多国籍国家。そのため、どうしてもある程度の摩擦は避けられない。しかし、観光が最大の収入源であるフィジーにとって政情不安による観光産業への打撃は、人種を問わず深刻な出来事であることに変わりはない。政情不安がそれほど大きく長引かないのもそんなことに起因しているのかもしれない。

 ともあれ、首都スバやその周辺の一部を除いて、フィジーの島々は今もなおのどかで平和そのものである。
 といっても、わたしがフィジーを訪れたのは1999年3月だから、政情不安が起こる前の話だ。しかし、首都から離れたフィジーの島々は今も当時の表情をそのままとどめているのでまず安心だ。

 その時のフィジーへの取材旅行で、無数にある島々に個性的なリゾートホテルがきら星のごとく点在しているのだが、なかでも印象的だったのが、フィジーで2番目に大きいバヌアレブ島東端に位置するジャン・ミッシェル・クストー・アイランド・リゾートだった。 クストーという名前にぴんとくる人も多いかもしれない。そう、このリゾートはかの有名なフランス人の海洋学者ジャック・イヴ・クストーの息子であり、自身も海洋学者のジャン・ミッシェル氏が自分の友人たちと共同出資で建てた高級リゾートなのである。

 リゾート専用の桟橋からボートで20分ほどの場所にダイブ・スポットが点在しており、潜るには理想的なロケーション。リゾートに常駐する海洋学者の解説付きのダイビングツアーなど、マリンアクティビティは当然ながら注目すべきは陸上のアクティビティも充実していることだ。

 近辺の熱帯雨林やマングローブ林に分け入ってウォーキングをしたり、近くの村を訪問して地元の人に古くから伝わる薬草の活用法について教わったり市場を見学したりと、フィジーの自然や文化を楽しく学べるメニューが豊富に揃っている。ゲストが近隣の村の人々と親しくふれあう機会を多く設けているのが特徴だ。また、リゾートでは自分の部屋で、地元のハーブから抽出したオイルを用いたフィジー式の伝統的なマッサージを受けることもできる。フィジーでは意外に本格的なマッサージを受けられるリゾートは少ないので、貴重な機会と言える。


■ランプの灯で楽しむムード満点のディナー
 
 客室は1軒1軒が独立したコテージスタイル。外観は素朴なかやぶき屋根だが、室内は広々として、鮮やかな色づかいのベッドカバーや微妙なパステルカラーの壁、調度品や間接照明などインテリアのセンスはかなりのもの。洗面所2つにミニバーなど快適に滞在できる設備を備える一方、周囲の環境への配慮も随所に見られる。

ポップな色合いのデッキチェアがプール
サイドを彩る。奥の三角屋根はレストラン
 客室は全室シャワーのみで、ゴミを減らそうという考えから使い捨てのアメニティはなし。シャンプーやリンスは備え付けの陶器製の容器に入っている。だが、シャワールームの雰囲気や容器がおしゃれで、不便さは感じない。省電力のためエアコンもないが、天井に大きなファンがあり、風通しがよく快適に過ごせる。外のテラスのデッキチェアで夜風に吹かれ、涼むのもいい。

 レストランのディナータイムも電気を使わず、目の前のプールサイドにランプを並べるのだが、これがなんとも幻想的なムードを醸し出す。無駄なゴミやエネルギーを使うことなく、居心地のよい雰囲気を創り上げているのはさすがと言えよう。ほかにも生ゴミは堆肥にして庭の野菜作りに活用したり生活排水は自前のフィルターで浄化するなどの努力が行われている。

 リゾートでは誰もが快適に過ごしたいというのは当然のこと。だが、そのリゾートが周囲の環境を犠牲にして建っているのではなく、影響を最低限にとどめ、地元のコミュニティと調和を図る努力をしていることがわかれば、ゲストはより快適に滞在できるのではないだろうか。環境への配慮と洗練された雰囲気を両立させた、このジャン・ミッシェル・クストー・アイランド・リゾートのようなリゾートは、今後も増えてくることを望みたい。
リゾートの敷地内にある桟橋。
ダイビングボートはここから出航


ジャン・ミッシェル・クストー・アイランド・リゾート
http://www.fijiresort.com

<客室料金>
ガーデンビュー 1泊1室405米ドル
オーシャンフロント1泊1室460〜625米ドル
※料金には2人分の食事3食と主要なアクティビティの参加費が含まれる(ダイビングやフィッシング、マッサージなどは別料金)。

<アクセス>
日本から直行便が就航しているフィジーのナンディ国際空港から国内線でバヌアレブ島のサブサブ空港へ50分、空港から車で20分


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