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トラベルライターによるホットな現地情報
<No.20> インド
2001年8月号
インド北部3都市に世界文化遺産を訪ねる
アーユルヴェーダで身も心もリフレッシュ!
インド北部。年間を通じ最も酷暑といわれる5月は最高気温が40度を超える。じっとしているだけでも背中に汗が流れるシーズン、縁あってインド北部のデリー、ジャイプール、アグラの3都市を旅した。インド北部はヒマラヤ山脈とヴィンディヤー山脈の間を流れるガンジス川とヤムナー川流域の広大な地域で、西にはタール砂漠が続いている。ムガール帝国時代の都であったデリーやアグラにはインドを代表する美しい景観が数多く残されている。豪華ホテルを巡りながら初めて目にしたインドは圧巻だった。以下、バスでの走行距離1200キロに及んだ旅のハイライトをお届けしよう。
中島 恵 (ジャーナリスト)
■ニューデリーとオールドデリー、2つの顔を持つ町
オールド・デリーのバザールは
迷路のように入り組んでいる
インドの首都デリー。人口は約850万人でムンバイ、コルカタに続き第3番目だが、町は整然としていて緑が多く、首都としての威厳を感じる。大統領官邸からラージ・パッド(王道)を東に仰ぐと、高くそびえているのがインド門。第一次世界大戦で戦死したインド兵の慰霊碑で、近づくと門の表面にびっしりと兵士の名が刻まれている。周辺にはヘビ使いや猿回しがあちこちに大道芸を繰り広げいる。「インドにやってきた!」。洗礼を受けたような感じだ。気温40度。クラクラするのはなおさらだ。
続いて世界文化遺産のフマユーン廟へ。ムガール王朝2代目のフマユーン帝のお墓で、皇帝の死後8年目に王妃によって建てられたという、タージマハル(皇帝が王妃のために建てた)の逆バージョン。赤砂岩と呼ばれるエンジ色の建物だが、インドではこの赤砂岩の建造物を非常に多く見かけた。
一方、洗練された雰囲気のニューデリーと違い、オールドデリーは下町のイメージ。車道の両脇には倒れそうなバラック小屋が目立つ。レッド・フォートと呼ばれる赤い城壁の近くがメイン・ストリートでアクセサリー店、衣料品店、食料品店などが無数に立ち並んでいる。ちょっと露路に入ると屋内に広がるバザールが迷路のように入り組んでいる。バザールではインドカレーに欠かせない香辛料が山のように積まれている。色とりどりのサリーの生地が女心を誘う。探険するのに持ってこいだ。
■ピンク色に染められたジャイプールでエステ体験
アンベール城の象のタクシー。
インド人観光客も多い。
旧市街の建物がすべてピンク色に塗られているジャイプールは、デリーからバスで約4〜5時間で到着する。途中、車窓からの光景は、一面に広がる畑と小さな村のバザールが交互に現れ、飽きることがない。ジャイプールはシティ・パレス、風の宮殿など見所が多いが、最も時間を割いて楽しいのはアンベール城。市内から少しはずれた荒涼とした岩山にそびえたつ城塞だ。
ここでのお楽しみは象のタクシー試乗体験。象の背中に設置された座席に横向きに乗り、城塞の入り口まで150mの急坂を登っていく 。傍で見ている分にはのっそりしているので恐くないが、実際に乗ってみると象の背中はかなり揺れる。像の背中に揺られてシャッターチャンスをものにしようと勇躍したが、とてもカメラを構える余裕などない。だが、だんだら坂を登るにつれ視界が広がると、城下町が眼下にひらける。その雄大な眺めには圧倒される思いだ。
ジャイプールでは噂のインドエステ、アーユルヴェーダに行った。アーユルヴェーダはインドエステの総称で、日本語でいうと伝承医学。アヴィヤンカ(オイルマッサージ)やシロダラ(オイルテラピー)、フェイスマッサージなどいくつかのメニューがある。筆者が体験したのはフェイスマッサージだが、アーユルヴェーダとして最も有名なのはシロダラ。ひたいから特別に調合したオイルを流すもので、身体に深い休息を与え、日頃からたまっているストレスを取りのぞく効果がある。同行の体験者曰く。「頭の中からじわじわオイルがしみ込んでくる感じで気持ちがいい」。
シロダラ実行中。気持ちよくて
眠ってしまうことも・・・
■美しすぎるタージ・マハルを訪ねて
ジャイプールからアグラまではバスで約4時間。アグラの観光のメインは何といってもタージ・マハルだ。ムガール皇帝のシャー・ジャハーンが妻の死を悼み建設した。世界で最も美しいといわれるその姿・・・。目に飛び込んできた瞬間は「すごい!」の一言なのだが、すぐに、まるで自分が実物のタージ・マハルではなく完璧に修正された絵か写真の前に立っているかのような錯覚を覚える。そのぐらい完成度が高く、見るものを圧倒する。世界文化遺産というだけでなく、インドへ行くなら間違いなく「必見の価値」ありだ。
おまけというわけではないが、意外なことに、タージ・マハルのすぐ後ろにはヤムナー川が滔々と流れている。正面から見ると周囲に何の障害物もなく、ただ青い空が広がっているだけ。左右対称で均整も取れているのだが、タージ・マハルの後ろはどうなっているか?だけは実際に行ってみないとわからない。今度行くときには、ぜひヤムナー川の向こう側から、タージ・マハルの「後ろ姿」を拝察したいものである。
インド産大理石が白く輝くタージ・マハル
アグラではホテルも観光ツアーも、おみやげもの屋もすべて「タージ・マハル」さまさま。タージ・ビューホテルや、2000年11月にオープンしたばかりの豪華ホテル、アマルビラ・オベロイ・リゾートホテルでは部屋からタージ・マハルを“拝む”ことができるのをウリにしている。
車道から見たバラック小屋で生活する人々の群れ、そして美しすぎるタージ・マハルと豪華なホテルライフ。どちらが夢でどちらが現実なのか・・・自分の肌で感じてみるのがインド旅行の醍醐味だ。
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