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トラベルライターによるホットな現地情報
<No.21> 上海
2001年10月号
激変都市「上海」はタウンウォチングが楽しい
2008年オリンピック開催で一段と弾み
2008年の夏季オリンピック大会の開催が決定し、沸きに沸く中国。アメリカ、日本を初め、連日のように景気低迷のニュースが流れる中、世界で中国だけが唯一、依然として高い経済成長で気を吐いている。中国旅行体験者にとって、上海や北京は初心者コースにすぎないかも知れないが、それでも上海の発展ぶりは目を見張る。租界の名残りが残る情緒たっぷりの往年の上海とは街並みが180度、様変わりしているからだ。文化遺跡巡りが多い北京に比べて、上海はタウンウォッチングが観光の主流だ。「発展する中国」を肌で感じるには上海を歩くのが一番。10年前に上海を訪れたという人にとってはまさに「ここはどこ?」状態の洗練されたニュー上海をご紹介しよう。
中島 恵 (ジャーナリスト)
■発展する上海を目の当たりにするなら、やっぱり浦東
発展の象徴である浦東地区の高層ビル街
かつて上海をイメージするものといえば、市の西側に位置する和平飯店や南京路だった。レトロな和平飯店でオールドメンの演奏する生のジャズを聞き、ほのかにあかりが灯る南京路をそぞろ歩く・・・・。それが定番だった。
貿易都市として栄えた上海はもともと外国のものを受け入れやすい素地があったが、フランス、イギリスなどの租界となった歴史から、異国情緒が漂っていた。ところが、現在の上海を歩いてびっくり。重厚な石造りの建物は一部をのぞいてほとんどが壊され、新しく近代的な高層ビルがにょきにょきと立っている。その最たる場所が浦東(プードン)地区だ。黄浦江を挟んで東側の対岸に当たる。
バンドから眺める浦東は「東方明珠」と呼ばれるテレビ塔を中心に、香港上海銀行ビル(以前の森ビル)、シャングリラホテル、上海国際会議センターなどが集まっていて、まるで未来都市を見ているようだ。「ここは本当に上海か?」と目を疑いたくなる。日本人の中には「幕張かお台場みたい」といった人がいたが、まさにそのものズバリの表現である。浦東には主にビジネス関係者しか足を運ばないが、地下鉄1駅で川を越えられるので、ぜひ出掛けてみたい。
■デパートでショッピング、ランドマークから街を一望
かつてのヤオハンデパートは現在も看板が
そのままに国営のデパートが営業している
浦東で観光客も楽しめるところといえば第一百貨店。以前のヤオハンデパートだ。ヤオハンが倒産して今では国営の上海第一百貨店と名称を変えているが、看板はなぜかそのまま。店内は明るく、日本の百貨店と見間違うほど。場所がビジネス街にあるということもあって、平日の昼間はガラガラ。ゆっくり買い物ができる。
またテレビ塔「東方明珠」に登るのも新しい観光コース。95年に完成して以来、上海のランドマークとしてあまりにも有名だ。高さは98m、263m、350mの3段階で、通常観光客が多く登るのは263mの2つ目の球。ここから眺める上海市内の眺望はすばらしい。ちょうど東京タワーより少し低い高さで、眼下には黄浦江を流れる小舟から、南京路、高層ビル建築中の浦東の空き地などがよく見える。中には展望レストラン、カフェ、カラオケ、みやげ店が入っている。夜はライトアップされるので、外から見るほうがきれいだ。入場料は50元(1元=約15円)。週末は上海近郊からのおのぼりさんが押し寄せるので、平日に行くのがベストである。
テレビ塔の入り口
■人民広場を散策し、街の歴史を知る
人民広場には上海博物館、上海城市計画展示館、上海大劇院、上海市人民政府といった建物がかたまっている。地下鉄の人民広場駅を出てすぐなのでわかりやすい。上海博物館は絵画、印鑑、宝石などジャンル別に展示ホールが分かれていて、好きな人なら1日中でもいられそう。1階には広いみやげ売り場があり、オリジナルグッズを購入できる。
10年後の上海をイメージした模型
上海城市計画展示館は建築や都市計画に興味がある人にうってつけ。上海市が歩んできた租界の歴史や70年代、80年代の歴史が写真パネルと年表でわかりやすく説明されている。10年後の上海を描いた模型は圧巻である。今はまだ建物がまばらな浦東地区にびっしりと高層ビルが林立し、住宅やショッピングセンターが充実する「未来」の上海が、見学者の足を止めている。上海の将来を「眺望」してみたいという人には、必見である。99年にオープンした浦東国際空港も、拡張工事が予定されている。1年行かないと前に訪れたところがわからなくなるほど、上海の表情は刻一刻変化している。世界中で景気の低迷が嘆かれるいま、上海の街を自分の足で歩いて、その躍動振りを体験してみてはいかがだろうか。
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