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トラベルライターによるホットな現地情報
<No.4>オーストラリア・ビクトリア州 |
ワインの産地ヤラバレーで見つけたプチホテル
海外旅行の思い出話に花を咲かせていると、「あのホテルのお部屋は居心地が良かった」とか、「コンシェルジェが穴場のレストランを教えてくれた」とか、「ビュッフェ朝食の種類がもう少したくさんあれば良かったのに」とか、ホテルに関する話題が結構多いことに気が付く。もちろん、観光地やショッピング、地元の人々との触れ合いなどそれはそれで少なくないのだが、私の場合、旅のライターという職業柄もあって、それはどうやらホテルやB&Bなどの宿泊施設の印象が、その旅の評価までもを大きく左右しているようなのだ。機会あってオーストラリア・ビクトリア州の州都メルボルンへ行った。大好きなワインを求めて出かけたヤラバレーで、私にとっては宝物のような個性豊かなプチホテル「シャトー・イーリング」を見つけた。
梶垣由利子 (トラベルライター)
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大な敷地に建つホテルへのエントランス |
ワイナリーでワインに舌鼓
ヤラバレーは、メルボルンから車で1時間程の所にあるオーストラリアでも有名なワインの産地である。約30ヵ所のワイナリーが点在し、シャルドネ、カベルネソービニヨン、ピノノアール、メルロー、シラーズ、スパークリングワインなどを産出している。ワイナリーの中には観光客を受け入れ、ワインのテイスティングや施設の見学ツアー、併設するレストランでランチを提供するところも多い。
この地区で最も名の知れたワイナリーの1つ「ドメイン・シャンドン(Domaine Chandon)」は、“ドンペリニヨン”で有名なフランスのシャンパンメーカー「モエ・エ・シャンドン」が1985年にヤラバレーの気候や土地を見込んで進出したものだ。スパークワインを製造している。ワインのテースティングはもちろんのこと、予約制で1時間ごとに30〜45分間のワイナリー見学ツアーを行っていて、ワイン造りの歴史、ブドウの収穫から製造過程、ボトリングや保存方法、ワイン蔵などが見学できる。
併設するレストランでの食事はボリュームたっぷり。ワインのテイスティングが楽しめるグリーン・ポイント・ルームの窓からは美しいブドウ畑が見渡せる。ワインを熟成させるケーブ(貯蔵庫)ではコンサートも開催していて、メルボルンや周辺地域から多くの人々が訪れるという。
イギリス生まれのネコと手作りクッキー
シャトー・イーリングのおもてなし
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ゆったりしたスイートルーム |
今回紹介したいプチホテルは、ドメイン・シャンドンから車で10分足らずの所にある「シャトー・イーリング(Chateau Yering)」である。1997年9月にオープンした2階建て、客室数20室の小さなホテルだ。「自分の別荘でのんびりと休暇を過ごすように滞在してほしい」というオーナーの心遣いが、ホテルの至る所で見て取れる。フロントは、こじんまりとしたホリデーハウスの玄関ホールといった感じ。書斎やファンクションルームなどのパブリックスペースにはアンティークな家具が置かれ、どこか重厚な感じが漂う。
チェックインを済ませると、笑顔のスタッフがホテル内施設を案内しながら客室まで連れて行ってくれるのだが、廊下を歩いていて気になることがあった。客室ドアの前にネコのぬいぐるみが置いてある。私が不思議そうにしていると、スタッフが「これは“部屋に入らないで”(Do not Disturb)って意味なのです」と教えてくれた。なるほど、ドアノブにカードをぶら下げるというような無粋な真似はしないのである。
客室はすべてスイートタイプ。各部屋にはバルコニーかベランダが付いていて、部屋ごとに基調とする色が異なる。ベッド脇のサイドテーブルには、手作りのクッキーが入った小さな缶がさりげなく置かれている。何よりの感動はベッドの上のネコのぬいぐるみ。廊下で見たネコとは模様や形が違うネコがゴロンと寝そべり、その日のご主人様を待っているのだ。
なんでも、このネコたちはイギリスから取り寄せられたもので、滞在中のペットとして大人気だそうだ。どうしても連れて帰りたいという滞在者も多く、取り寄せてもすぐに売り切れてしまうらしい。
お得なウィークデープランで上手な滞在
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いわく付きのネコとの戯れも |
シャトー・イーリングでは食事やデザートの評判も高い。繊細で甘味を抑え、素材の味を生かしたたフルーツタルトや各種ケーキは正に日本人好み。1階の「スイートウォーター・カフェ」でカプチーノと共にぜひ試してもらいたい。
宿泊料金は1泊朝食付き1部屋(2人使用)375豪ドルから(2000年3月まで)。季節や時期によっては各種割安な宿泊パッケージプランもあるので、事前にチェックしておきたいところ。例えば、「Mid week taste of Chateau Yering」(11月30日まで)は、ウィークデーに宿泊するプランで、1泊3食付き2人分のパッケージ価格が455豪ドルからと大変お得。
ここでの過ごし方はのんびりが基本。250エーカーという広大な敷地内には、テニスコートやスイミングプールなどが整い、アロマセラピー・マッサージを受けることもできる。近くをヤラリバーが流れ、周辺を散歩したり、ホテルから数分の距離に点在するワイナリー巡りや、コアラやカンガルー、カモノハシといったオーストラリアならではの動物が生息するヒールスビル自然保護区(ホテルから車で20分程)へ行ったりと、アトラクションは盛りだくさんだ。
また、ウエディングのレセプションや誕生日のパーティー、小規模なコンファレンスなども受け入れており、希望によっては庭やパブリックスペースの書斎、レストランなどホテル敷地内の至るところでパーティーを開くことができる。
メルボルンへ行ったなら、ヤラバレーへ足を延ばし、ワイン三昧と居心地の良いプチホテルで自分なりのリゾートを満喫してはいかがだろう。
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アンチーク調のスタンドが
売り物のベッドルーム |
問い合わせ先:
★Chateau Yering - Historic House Hotel
(シャトー・イーリング・ヒストリック・ハウス・ホテル)
Tel:613-9237-3333 Fax:613-9237-3300
http://www.chateau-yering.com.au
E-MAIL:info@chateau-yering.com.au
★Domaine Chandon(ドメイン・シャンドン)
Tel:613-9739-1110 Fax:613-9739-1095
http://www.domainechandon.com.au