このようにユニークな東洋と西洋の共存だが、返還と共に決定的に変わらざるをえないと思われる側面がある。それは「英国」の名残りの抹殺である。
香港には英国人がつけた地名や道路名が多く、そんな英国流の名前の存在が東洋の中の西洋を感じさせてきた。中国は、「返還後といえども50年間は何も変えず今までどうり」とは言っているが、しかし、はたしてクイーンズ・ロード(皇后大道)とか、昔の香港総督の名前をとったネーザン・ロードやジョーダン・ロードを返還後も黙って認めるだろうか?
英国がつけた地名とか道路名は非常に多いが、その主なものをチョット挙げてみる。それらはみな観光客に親しまれてきた名前ばかりなのだが・・・・
先ず、ビクトリア女王の名を冠したビクトリア・ピーク、ビクトリア・ハーバー、ビクトリア公園など、それに、キングス・ロード(英皇道)、プリンス・エドワード・ロード(太子道)、その他レパルズベイ、今は仲直りしているが、かつて中国が「香港の繁栄を妨げる」と非難したことがあるジャーデインの名を冠したジャーデイン街、ヘネシーロード、・・・などなど。それに前出のクイーンズロード、ネーザンロード、ジョーダンロードなどがある。
事実、その数は無数にあるが、総督の名前とか皇后大道、英皇道、太子道、など、どうしても中国にとって我慢できないものだけ変え、あとの英国名はそのまま固有名詞として残すとしても(もっともその時、漢字名は後に触れるように、広東語で音訳するか、北京語で音訳するかによって変わってくるが・・・)、改名した新しい道路名が中国の習慣に従って「xx路」となると、香港の「xx道」の中にあって、ひときわ目立ち、まるでなじみそうにない。
だからといって、中国が選ぶ新しい名前を香港流に最後に「道」をつけるのは中国にとっては、メンツ上、これまた我慢ならないのではなかろうか。
いずれにしても、どんな名前になるか興味があるところである。