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殆ど200〜300メートル毎に停留所があるから、降りたいところで自由に降りて歩き回れるのも嬉しい。しかし、ここで一言。このトラムを100%楽しむためには、先ず、ラッシュアワーを避けること。次に、必ず2階の1番前に陣取ること。何者にも邪魔されない自分の香港が楽しめる。

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『動く広告塔』トラム |
そればかりではない。トラムのすぐ前を慌てて小走りに横切る人達などを見下ろしていると、何故か急に偉くなったような気さえするから妙である。20円は安い。1度味をしめると、2度も3度も、西に、東に、行ったり来たりしたくなること請け合い。
このトラムは団体で貸切ることもできる。
さて、このトラムは『動く広告塔』ともいわれ、2階建ての大きな車体一面に描かれた極彩色の広告は街行く人々の目をいやでも引きつけている。
コーズウエイ・ベイ、ワンチャイ、セントラル、ウエスタン地区などの繁華な沿線を、沢山のトラムがそれぞれ異なった派手な広告をひけらかしながら連なってゆっくり走る姿を目にすると、香港だけにしかない極めて効果的な広告媒体であることをいやでも納得させられる。

その広告には、タバコあり、漢方薬あり、洋酒あり、レストランあり、電気製品あり、航空会社あり、ブランド商品あり、商社あり、そのジャンルには際限がなく全く賑々しいかぎりである。
ここで、私はフト心配になる。中国への返還後、もしかすると西側自由世界の広告は、この『動く広告塔』から締めだされないまでも何らかの規制が加えられ、何時の間にか中国系企業の広告、もしくは中国政府の主権を強烈にアピールする、あるいはソフトに訴える懐柔的(?)メッセージ、さらには1999年のマカオの中国返還の後にひかえる大きな台湾問題を意識して、例えば『中国は一つ』を始めとする数多くの政治的なスローガンが、トラムにのって西に東に走り回る姿が目に浮かぶのである。
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