お薦めクルーズクルーズ考へ戻る旅コムの目次へ


 この地の特徴は、アメリカの国鳥・白頭鷲の宝庫だということ。クルーズ船はあまり立ち寄らないヘインズには、チルキット族の素朴な村だった面影がいまも残っている。夜はチルキット族の民俗舞踏ショーを見学する。伝統のチルキットブランケットをまとった人々が、独特のかけ声を掛け合って、熊になったり鷲を表現したり、死者を蘇らせたりと、物語形式でダンスは進行する。小さな子供の熱演や、長老の入れ歯が落ちる演出などが埋め込まれ、客席を多いに沸かせた。
 アラスカに来たら一度は食べてみたいのが名物の「サーモンベイク」だが、翌日のジュノーでは、このアラスカらしい味覚を堪能した。
 水上飛行機に乗って、タク氷河の向かい側に建つタクグレーシャーロッジへ。迎えてくれたのは、正面に広がる氷河の雄大な眺めと、開拓時代を彷彿とさせるムディーなロッジ。そして、庭の竈では、今日のランチのためのサーモンベイク。キンググサーモンを焼く香ばしいかおりが、あたり一面に漂っていた。「ジャン、ジャン、ジャン」昔ながらの食事を告げる鐘の音を合図に、あたりを散策していた人々が一斉にロッジに集まる。コールスロー、豆の煮込み、そしてメインディッシュは、もちろんサーモンである。

タク氷河ロッジでサーモンベイク

 ところで、日本人にとってサーモンベイクはちょっと複雑な味。理由はその甘さだ。鮭に蜂蜜、バター、香辛料、ブラウンシュガーなどをかけて焼くので、塩焼きや照り焼きを想定して食べると目を白黒させることになる。地元の味に彩りを加える暖炉の炎。窓から望む氷河。ご機嫌なランチタイムの後は、ロッジの後ろに繁る森を散歩する。熊には会わなかったが、イーグルの巣を見つけた。
 このクルーズの最後の寄港地は、アラスカ最南端の町ケチカン。世界一、年間降雨量の多い地域だが、終始好天に恵まれたこのクルーズでは、ロコの人たちにも珍しいという雲一つないケチカンに到着した。


マウンテンレイク カヌーイング
 マウンテン湖のカヌー漕ぎは、クルーズ仲間が力を合わせ、大型カヌーを山の湖に漕ぎ出すアドベンチャーツアー。ボートリーダーのかけ声にあわせ、カヌーはアラスカの湖を滑る。回りには大自然の木立ち。見上げれば鷲が青空を飛んで行く。以前にも参加したことがあるカヌーこぎだが、その時はどしゃぶり雨と霧に見回れ、景色を見るどころではなかった。
 もやに包まれたミスティーレイクも神秘的ではあるが、太陽の光に照らし出された景観は、一層輝いていた。対岸には、スモークサーモンや野生イチゴのジャム、そしてほかほかのクラムチャウダーが準備され、ボートリーダーを囲んで、楽しいスナックタイムである。山の湖に談笑がこだまする。
 クルーズのフィナーレはミスティーフィヨルド。切り立ったフィヨルドの間を縫うようにレジェンドは進む。それにしてもなんと美しいアラスカクルーズだったのだろう。純白のメガシップ・レジェンドオブザシーズとアラスカの大自然との共演は青空の日々という幸運にも味方され、大喝采のうちに幕を降ろしたのだった。

-2-


お薦めクルーズクルーズ考へ戻る旅コムの目次へ