マデイラワインの故郷 マデイラ島の旅
常春の島、マデイラ
モロッコの西、大西洋に浮かぶマデイラ諸島は、主島のマデイラ島とその北東にあるポルト・サント島、そしてセルバージェンス島とデゼルタス島の2つの無人島からなるポルトガルの自治領。欧州域内の主要14都市から直行便やLCCが結ばれ、ポルトガル国内のみならず、ヨーロピアンに人気のリゾート島である。
手つかずの自然と絶景が広がるマデイラ島は、年間を通じて過ごしやすい、マイルドな気候が特徴的な「常春の島」。島にある照葉樹林の森「ラウリシルヴァ」は、1999年にユネスコの世界遺産に登録されている。
幅広い選択肢に富む宿泊施設、年間を通じて開催されている大規模イベント、旅人を温かく出迎えてくれる島民気質が、リゾート地としての価値や魅力をさらに高めている。
マデイラ島の豊かな自然と伝統を満喫する
マデイラ島では、ラグジュアリーなホテルでのんびり過ごすのも悪くないが、ぜひ旅のプランに取り込んでみたいのが、充実したアクティビティの数々だ。
マデイラ名物といえば「トボガン」。これは坂の多いこの島で、古くから物資や人の輸送に使われてきたソリのことで、その木製バスケット型のトボガンに乗っての坂下りがアトラクションとして楽しめる。
アクティブに身体を動かしたい方なら、着目したいのがトレッキング。島内には「レバダス」と呼ばれる全長およそ3.000キロメートルの灌漑水路があり、その水路沿いに32のトレッキングコースが整備されている。難易度はルートによって異なり、他では経験できない自然とのふれあいながらの冒険が楽しめるという。
もちろん、海に出てドルフィン/ホエールウォッチングを楽しんだり、マデイラ諸島で唯一の白い砂浜が広がるポルト・サント島へ出かけてみるのもお勧めだ。ポルト・サント島へは、マデイラ島のフンシャルから飛行機で50分、船なら2時間15分でアクセスできる。
マデイラワインと島の名物料理を味わう
サツマイモを練り込んで焼き上げたマデイラのパン「ボーロ・デ・カコ」に、たっぷりのバターとガーリックでグリルした「ラパス(カサ貝)」、シュラスコの原型とも言われる串焼き料理「エスペターダ」、マデイラのカクテル「ポンシャ」などの名物料理があるマデイラ島だが、一番の特産品といえば「マデイラワイン」である。
マデイラワインは、マデイラ島で造られている酒精強化ワイン。シェリー(スペイン)、ポートワイン(ポルトガル)とともに「世界三大酒精強化ワイン」のひとつに数えられている。熱による酸化熟成と凝縮による豊かな香りと独特なアロマが特徴で、甘口から辛口まで幅広い味わいがある。すでに限界まで酸化されているため、栓を抜いても一度に飲み切る必要はない。
アルコール度数が高いことから食前酒や食後酒として親しまれているが、少量をソーダで割って飲んだり、郷土料理とのペアリングも楽しめるワインである。
大航海が生み出した奇跡の美酒
マデイラ島でのワイン造りの歴史は、エンリケ航海王子の命により、探検家のホアン・ゴンサルヴェス・ザルコが島にブドウを植えた1425年にまで遡る。丘の斜面に石垣で形成された「ポイオス」と呼ばれるテラス式のブドウ畑が作られ、500年の時を経てマデイラ島を象徴する、息を呑むような美しい景観が生まれた。
島で最も古いブドウ畑があるのはピコ・デ・トーレの斜面。ここへはケーブカーか船でしかアクセスできない。
起伏の激しい地形を活かし、マデイラ島では糖度により分けられるドライ、ミディアムドライ、ミディアムスイート、スイートのブドウ品種が栽培されている。この島に最初に植えられたブドウ品種は、クレタ島原産のマルヴァジア・カンディダであったとされている。
大航海時代、大西洋航路での最後の寄港地であったマデイラ島。商人たちはその際、大量の水や食糧とともに、マデイラ産のワインを積み込み、アメリカ大陸に向けて出発した。その途中、船は赤道近くを通過。その時に熱が加わってワインの熟成が進み、美味しさが増した。これが意図的に酒精強化されたマデイラワイン誕生のきっかけとなった。
その後、マデイラワインは美酒としてアメリカで愛され、第3代アメリカ合衆国大統領のトーマス・ジェファーソンは、1776年の独立記念日にマデイラワインで乾杯など、歴史的な場面にも登場している。
マデイラワインの味わいは、甘口から辛口まで様々。エステュファージ(加熱処理)によって長期間の熟成にも耐え、中には100年を超える古酒もある。また、リカルド氏によると、マデイラ島のワイナリーでは、ブドウの収穫や伝統的な足踏み破砕も体験もできるという。
小さな国土ながら、多様な魅力に溢れるポルトガル。ポルトガル政府観光局のイネス・ケイロース局長は「マデイラの一番の魅力は、何と言ってもマデイラワイン。リスボンから飛行機で1時間半ほどでアクセスできるので、ぜひマデイラ島にも足を延ばして欲しい。旅先をリスボンだけで終わらせてしまうのは、もったいない」と呼びかけている。
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