「高慢と偏見」の出版から200年
知性と生気に溢れるエリザベス・ベネットと、気難し屋のミスター・ダーシーとの恋愛を描いた小説「高慢と偏見」の出版から2013年1月で200年を迎える。著者であるジェイン・オースティンが「高慢と偏見」の初版を手にしたのは1813年1月29日のこと。出版から200年を経た今もなお、世界で多くの人々に愛されている名作だ。そこで、同書の出版200周年を記念したイベントとジェイン・オースティンゆかりの地を紹介しよう。
出版200年周年記念行事
オースティンは晩年の8年間をハンプシャーにあるチュートンで過ごし、そこで「分別と多感」や「高慢と偏見」「マンスフィールド・パーク」「エマ」、そして「説得」を執筆した。
かつてオースティンが暮らしていた家は、ジェイン・オースティン記念博物館となっており、そこで1月20日から本の初版やイラストの原画、オースティンの執筆した机などを集めた特別展が開催される。また、オースティンの弟エドワードが所有していたチュートン・ハウス図書館やウィンチェスター大聖堂でも、出版200周年を記念した特別ツアーやイベントが予定されている他、ハンプシャー・リージェンシー・ダンサーズによる舞踏会や、BBCが1995年に制作した「高慢と偏見」で使用された衣装の特別展もある。
毎年9月にバースで行われているジェイン・オースティン・フェスティバル(2013年9月13~21日開催)では、「高慢と偏見」の出版200周年を記念した特別イベントが企画されているとのことで、今年はさらなる盛り上がりが期待できそうだ。
小説のインスピレーションを辿る旅
実在する風景からインスピレーションを得て、豪華な邸宅や壮大な田園地帯を舞台に小説を執筆したオースティン。デヴォンシャー公ゆかりの地でもあるダービーシャーのチャッツワースは、英国で最も有名な歴史的邸宅がある町として知られている。オースティンはこのチャッツワースをヒントに、ミスター・ダーシーの故郷であるペンバリーを描いた。
そこから4マイルほど行ったところにあるのが、小説に登場する架空の町ラムトンのモデルとなったベイクウェルだ。オースティンはこの町にあるザ・ラトランド・アームズの(2号室)に宿泊したことがある。運が良ければ同じ部屋に泊まれるかも知れない。
田園地帯から銀幕の風景まで
1980年にBBCが制作したテレビドラマでペンバリーの場面は、ダービーシャーにあるレニショウ・ホールで撮影された。ゴツゴツとした荒地が広がる近くのピーク・ディストリクトには、ナショナル・トラストが管理するライム・パークの邸宅がある。
このライム・パークは1995年にテレビでドラマ化された際、コリン・ファース演じるミスター・ダーシーが、白いシャツを着たまま湖から上がってくるシーンで登場した。このシーンは、老若男女を問わず多くの視聴者の心に残る名場面となっている。もちろん、オースティンがペンバリーをイメージしたチャッツワースほど、この作品にぴったりの場所はないだろう。
ピーク・ディストリクトにあるスタネイジ・エッジ は、キーラ・ナイトレイが考え事をしながら国立公園を見下ろすシーンが撮影された場所で、映画の中でも特に美しく印象深いシーンとなっている。
このピーク・ディストリクトでの撮影中、キーラ・ナイトレイとマシュー・マクファディンは四柱式ベッドのあるホテル ザ・ピーコックに滞在していたそうだ。また、バジルドン・パークは、映画の中でエリザベスとダーシーが初めて出会うシーンで使われれている。邸宅のフォトジェニックな美しいインテリアはダンスのシーンで登場。ジョージ王朝風の邸宅内にあるティールームでは、アフタヌーン・ティーを楽しむことができる。
映画で雨にぬれたダーシーが、エリザベスにプロポーズした場面を覚えているだろうか?
このシーンが撮影されたのは、ストーヘッドの庭園にあるネオクラシック様式の寺院。ナショナル・トラストが管理するこの庭園は、18世紀に植えられた豊かな木々で知られている。ここを訪れるのであれば、木々がより美しくなる春と秋がベストシーズンだ。
バースでの日々
1801年から1806年にかけてオースティンが暮らしたバースを訪れてみるのはいかがだろうか。
ジョージ王朝式の建造物が並ぶこの街は、オースティンの時代からほとんど変わっておらず、そこにはオースティンの小説の世界が広がっている。
オースティンの手書き原稿や小説を録音したものなどが展示されているジェイン・オースティン・センターは、ファン必見のスポットとなっている。また、オースティンが暮らした家バース・ブティック・ステイズ も見逃せない。現在、ここは宿泊施設として利用することができる。
リージェンシー・ティールームに併設されたギフトショップでは、「ダーシーを愛しています!」というフレーズがプリントされたバッグやTシャツ、バッジなどが販売されている。オースティンファンへの良いお土産になりそうだ。
(写真はイメージです)