グレートバリアリーフ生息のサンゴ白化、観光地への影響はわずかな程度にとどまる
これまでになくサンゴの白化現象が悪化しているグレートバリアリーフ。一部では「いずれはサンゴが死滅する」といった報道もなされているが、実際に白化現象は発生しているものの、極めて深刻な被害を受けているサンゴの中には、死滅せずに回復するものもある。
今回、2020年3月後半に2週間かけて1,036ヶ所の調査を実施した豪政府機関のグレートバリアリーフ海洋公園局(GBRMPA)は、日本から多くの旅行者が訪れているケアンズおよびウィットサンデー地域のグレートバリアリーフにおける白化現象は「比較的深刻な状況にはない」との見解を示した。
グレートバリアリーフにおいて最初に記録された大規模な白化現象は、当時の観測史上で最も暑い年となった1998年に発生した。以来、最高気温が塗り替えられていく中、2002年、2016年、2017年、そして2020年と大規模な白化現象が発生している。
今回の調査では、2016年、2017年の結果よりも白化の範囲がより広範囲に渡ることを確認。その一方で、ケアンズ地域やウィットサンデー地域など観光客が訪れる海域ではサンゴの白化はほとんど確認されず、観光への影響は少ないことが判明した。
調査に協力したジェームズクック大学ARCサンゴ礁研究センターのモーガン・プラチェット教授は、「白化は必ずしも致命的ではなく、一部のサンゴ種が他の種類に比べて影響を受けています。色褪せたサンゴや軽く白化したサンゴは通常、数週間から数ヶ月以内に元の色に戻り、生き続けます。今後は2020年後半に再び調査を行い、今回の白化現象によるサンゴの損失を評価します」と述べている。
この結果を受け、クイーンズランド州政府観光局日本事務所のポール・サマーズ局長は、「新型肺炎の感染拡大が終息し、これまでのように皆様にクイーンズランド州へお越しいただけるようになった際には、ぜひグレートバリアリーフを訪れていただき、好きになって、そして保護の重要性を知って、帰国後に周りの人々に伝えていただきたいと思います」とのコメントを発表した。
「2020年3月実施のグレートバリアリーフ地域におけるサンゴの白化調査」の骨子
目的 |
グレートバリアリーフ全域におけるサンゴの白化範囲と深刻度を測定 |
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実施期間 |
2020年3月後半の2週間 |
調査方法 |
1,036箇所を航空測量にて調査 |
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