秀峰キナバル山に登る

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世界各地に4千mを越える山は多々あるが、ハイキング程度の軽装備で登れる山はキナバルを除いてはない。ヨーロッパには、3千800mの高所までロープウェイが架けられている場合があるが、その先は氷河に履力された厳しい山岳で、体力と技術を要求される。

また、キナバル山は安全面から見ても、中高年向きのソフト・アドベンチャーの対象として一押しの場所といってよいだろう。どっしりとした山容で、頂上(4101m)付近は花崗岩が氷食作用によって磨かれ、まるで残雪があるかのように輝いている。高山とはいえ、赤道上に位置するボルネオ島であるから、もちろん雪の心配はいらない。

キナバル山


● アプローチ

登山の出発地点はボルネオ北部、マレーシア・サバ州のコタキナバルだ。
車でイースト・ハイウェイに沿って、町を抜け、山に向かい約3時間30分。キナバル国立公園の管理事務所(PHQ)で下車する。PHQ周辺には幾つかの宿泊施設があるが、ペルカサ・ホテルが眺望の点からいってもお薦めだ。

翌朝、PHQでガイドをあてがわれ、車で30分のパワーステーションに向かう。ゲートをくぐり、沢筋に一旦出て左手に小さな滝を見ながらいくと、急登がはじまった。ガスに包まれ幻想的な樹林の風景を楽しむ。

望遠レンズをつけたカメラをガイドに預けたが、なぜか彼の足取りは重く、第一シェルターで40分も待たされた。姿が見えたところで「オーイ!」と声をかけると、彼はレンズを杖がわりに「よいしょ!」といいつつやってきた。おかげで愛用のカメラは泥だらけ。決して大事なものはガイドに持たせてはいけないと反省する。

登山口から3400m地点のラバンラタ・レストハウスまでは、6つのシェルター(屋根だけのあずま屋)と水タンクがある。また、次のシェルターまで何分という案内が出ているので心強い。ラバンラタ・レストハウス(山小屋)に近づくと、ガイドの足が急に早くなった。どうやら酔いが覚めたらしい。ここで一泊。マレー風中華料理の夕食が美味。寝室は二段ベッドで一室4~6名を収容する。

● 早朝ピークへ

朝食は暗いうちに済ませキナバル山頂を目指す。ヘッド・ランプをつけ小屋を出発するが、暗いので慎重に歩く。 広々とした岩盤の上に出ると、ルートを指示する白いロープが張られているので、方向を見失う恐れはない。酸素不足に耐え高度を上げると、最高峰ローズ・ピークに出る。

幾つかの岩峰が山頂を形成しているが、初登頂は1924年のイギリス隊である。ご来光を待つひとときが、言葉にならないほど貴重な体験に感じられる。

● 登山メモ

参考コースタイム:登山口=(5時間)ラバンラタ・レストハウス(泊)=(1時間)サヤサヤ小屋=(1時間30分)ローズ・ピーク=(2時間)ラバンラタ・レストハウス=(3時間30分)登山口

● 入山手続き

コタ・キナバル市内のSaba Parksで予約をするのが原則であるが、ホテルのツアーデスクでアレンジを頼めば、市内からの送迎も含まれるので便利。

● 気候

平地では30度C前後であるが、3000m以上の山小屋では朝晩10度Cまで下がるので、セーターを着用したい。雨具も忘れずに携行。


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