永遠の魅力ーグルメ天国 中国の郷土料理

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中国茶


 お茶は中国で生まれ、その歴史は2千年以上になるという。
お茶の原産地は中国の南部であるというから、お茶を飲むという習慣もその辺から始まったのであろう。そこから中国全土へ、さらに世界中へと広まっていったらしい。

 お茶の飲み方を一応確立させたのは陸羽という人で、『茶経』というものを著し、その中で始めてお茶の歴史から飲み方、作法まで記述したのである。それは、唐時代の中頃、西暦760年前後の頃のことであった。

 香港の永吉街に彼の名をとった『陸羽茶室』があることはすでに述べた。その頃と現在では、お茶の飲み方はもちろん、お茶そのものも違っていたのである。

 その頃のお茶は、茶の芽を蒸して臼でつき、つき上がったものを型に入れて押し込めて作られた。それを『茶餅』といって、飲む時は、先ずそれを火にあぶってから粉にひき、少々の塩と共にお湯に入れて飲んだという。時に、香料のようなものを入れることもあったそうである。

 現在のように急須や土瓶などを使用するようになったのは明の時代になってからなのである。
お茶には2千年以上の歴史があるといったが、飲み始めたのは、現代の感覚でいう「お茶」としてではなく、一種の漢方薬として飲まれたようである。

 お茶には覚醒作用があるカフェインとか殺菌作用があるタンニンが含まれており、またビタミンCも豊富であることは良く知られているが、その他に、油を流し、消化を助けるという効果もある。その薬用としての価値が、その昔、経験的に知られるようになったのであろう。

 その後、お茶の作り方、飲み方は変遷を続けてきたが、今では中国料理には絶対に欠かせないものになっている。お茶の風味が中国料理に合うというばかりでなく、消化を助けるという働きが脂っこい料理を食べる中国人にとっては、なくてはならないものとなっているのである。

 もっともそう意識して飲んでいる人は余りいないであろうが・・・。
あの、材料から見ても、いかにも太りそうな料理を毎日とっているのに、おデブさんの中国人があまり目につかないのは、お茶をたくさん飲んでいるせいだという説がある(もう一説には、厳しい生存競争ーーこの中には出世競争、金儲け競争も含まれるがーーのため神経を磨り減らし、また労働過多、睡眠不足などで太るヒマがないのだ、とうのがある)。 その真偽のほどはさておき、フィンガー・ボウルのお茶で指を洗うと、油っけも匂いも消えてしまうことは事実である。

 お茶の一種に痩せる目的の『減肥茶』があるが、これなどは、その昔、私が新しい客層開拓のため、日本市場に向けて大々的に宣伝しようとしたものである。ダイエット華やかなりし頃であった。しかし、他に『売りもの』が数多く出てきたため、そこまで手が回らずじまいになってしまった。

 中国には、数え切れないほどたくさんの種類のお茶がある。中国各地に名産茶があるのである。
製法や原料が違うだけでなく、土地によって気候や土壌、それに水質が違うので、微妙な違いがでてきて、それがお茶好きにとって大きな魅力となっている。

 香港にはその中国各地のお茶が集まってくるので、たいていのお茶は手に入る。これは、あらゆる地域の中国料理が狭い香港で食べ比べできるのと全く同じである。

 お茶は製法によって大きく非発酵茶、半発酵茶、発酵茶の3つに分けられる。
日本の緑茶や中国の龍井茶は非発酵茶で、発酵されてないから緑色を保っている。もっとも日本の緑茶は「蒸熱」という方法で作られているが、中国のは「釜炒り」である。

 発酵茶はいわゆる「紅茶」のことである。これは製茶を最終段階まで熱を加えず、じっくり発酵させ、黒っぽい色をしている。香港で広く飲まれているボーレイ茶は発酵茶である。
非発酵茶と発酵茶の中間タイプ、つまり、緑茶と紅茶の中間が半発酵茶で、赤っぽい色をしている。鉄観音などの烏龍茶はこれに属する。

 余談だが、紅茶のことを英国人は(英語では)ブラック・ティーというが、それは黒っぽい色をしているからである。何故、紅茶と書くのかはわからない。文字そのままに訳して、レッド・ティーとは言わないのである。レッド・ティーといえば、赤っぽい色をしている烏龍茶などのことをいうのである。緑茶は文字通り、グリーン・ティーである。非発酵茶、半発酵茶、発酵茶などという無粋な、味も素気もない仕分けに比べ、単純に見た目の色で区別するのは面白い。

 香港ではボーレイ茶が広く飲まれているといったが、このお茶はもともとは雲南省産のお茶である。カビ臭いとか、ワラ臭いとかいって敬遠する人がいる一方で、この独特の香りの虜になってしまった人も多い。古いものほど珍重され、値段も高い。

 何はともあれ、中国料理を食べる時には、なくてはならないのがお茶である。「飲茶」のところでも述べたが、このお茶を飲むことによって、前に食べた味を素早く洗い流し、後先の味をしっかり振り分けてくれるのである。その上、脂っこさも中和してくれる。さらに、その香りが中国料理にピッタリときては、昔からその2つが切り離せない関係にあるのはうなずける。

 紅茶や緑茶に、香りの高い花の花弁を乾燥し混ぜ合わせたお茶を、花香茶という。
ジャスミンの花を入れた茉莉花茶、香片茶、菊の花が入った菊花茶などがある。その他にもハマナスの花とか、水仙の花などを入れたお茶もある。

 いずれも、それらの花のほのかな香りを楽しむもので、中国料理に合う、合わないは、人それぞれの好みで決まる。 緑茶の中では、清茶が最高ということになっているが、龍井茶もなかなかの評判である。

 さて、烏龍茶であるが、日本人の口に合うのか何故か大変な人気で、日本では中国茶といえば烏龍茶しかない・・・といわせるような現状である。烏龍茶の鉄観音は、福建省で作られた有名な銘柄で、潮州料理では、食前と食後に小さなおちょこのような湯呑みに入れた濃い鉄観音のお茶がだされる。消化を助けるという。

 烏龍茶の『烏龍』とは、烏色の、つまり、黒い、龍のことをいうのである。それにはこんな言い伝えがある。
 「昔々、緑茶を作っているところへ、どこからともなく黒い龍が現れた。人々はびっくり仰天して逃げたが、しばらくして戻ってみると、その緑茶は素晴らしい風味を持つお茶に変わっていた。それ以来、人々はそのお茶を『烏龍茶』と呼んで、珍重した」という。 そう思うと、何時も飲んでいる缶入りの烏龍茶にも、なんとなく、その味わいに深みがでてくる(?)・・・のではなかろうか。

 素気なくいえば、非発酵茶が「黒い龍」のおかげで半発酵茶に変わった、ということなのだが・・・。発酵させた「黒い龍」とは何だったのだろう?



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