夜景の魅力

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 香港を始めとして、ニューヨーク、リオデジャネイロなど、世界には夜景の美しさで知られているところは多い。しかし、ビルの明かりとネオンが生み出す美しさで比較するなら、世界の都市はみな、それぞれ特色のある美しい夜景を持っているといってもいいかもしれない。

 日本にも、長崎や函館など、夜景の美しさで有名なところがある。東京や大阪などの大都市の夜景も素晴らしい。
遠く近く派手に瞬くネオンの輝きと、明るく浮き上がるビル、それにその間を縫う車のライトの帯が作り出す光のページェントは、何時まで眺めていてもあきないものがある。何故、香港の夜景だけが『100万ドルの夜景』とか『東洋のホタル籠』などと言われ、観光客に人気があるのだろうか?

 それは、私流の解釈だが、狭い地域に密集する無数の摩天楼が生み出す香港独特の、色とりどりの華麗な光の景観もさることながら、香港には夜景を堪能するための素晴らしいお膳立て、つまり、他には見られない絶好の『観覧席』があるからだと思う。

 ここでは天下一品の中国料理を楽しみながらの『観覧席』のことを特に強調するのではない。私のいう『観覧席』の一つは香港島のビクトリア・ピークである。
これは香港側から九龍側の夜景を俯瞰するには理想的な高さの『観覧席』である。足元のセントラル地区からビクトリア・ハーバー越しに展開する豪華な夜景は、香港の夜景を代表するものであり、また、逆に、九龍側の『観覧席』からは、香港島のウエスタン地区、セントラル、ワンチャイ、コーズウェイベイへと高く低く色とりどりに織りなす光のきらめきが、ビクトリア・ピークのシルエットへと伸び上がる香港ならではの光の圧巻が楽しめる。

 香港側、九龍側双方の『観覧席』が、まるで趣の異なった香港夜景の醍醐味を満喫させてくれるのである。
そればかりではない。香港島と九龍を、遠からず、近からず、適当な距離を隔てるビクトリア・ハーバーを行き交う大小さまざまの船が流す美しい光の帯も、香港側、九龍側、いずれの『観覧席』にとっても不可欠の脇役として香港の夜景を引き立てている。

 その流れる光のオブジェの一つ、ディナー・クルーズなどは、食事しながら、前に、後に、右に、左に、刻々と変化する香港ならではの周囲360度の夜景を楽しませる動く『観覧席』といえるであろう。
クリスマスにはこの景色がひときは華やかになる。

 夜景の美しさをドルで表現するのもおかしなものだが、あの『百万ドルの夜景』が数百万ドル以上(?)の夜景として展開されるのである。
ホテルやデパート、商場など多くの高層ビルが派手に光のデコレーションで飾り立てる。ビルの側面を巨大なフレームとして、その前面をイルミネーションで華麗に飾り、それらが百万ドルの夜景と重なり合いながら多彩に光の錦を織りなすのである。

 この美しさは香港ならではのもので、観光客はこのチャンスを見逃すべきではなかろう。
あの百万ドルの夜景がその装いを数倍も華麗に変身している時だからである。



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