南極観光3つのコース
私たち一般の観光客が現在、探検船で訪れることが出来る南極観光のコースは、3つある。そのうちまず、最も所用日数が短くポピュラーなコースを紹介しよう。
南極大陸の地図を開いてみると、南米大陸に向かってお玉杓子の尻尾のように南米大陸に突き出ているのが南極半島だが、その周辺の島々を訪れるコースでまず南極観光と言えば、このコースを指す。
砕氷船に乗り込むのは、チリのプンタアレナスかアルゼンチンのウシワイアでる。
出港して間もなく、荒天の船旅で名高い魔のドレイク海峡を通過する。
その昔、このドレイク海峡の荒波を体験せずして一人前の船乗りにはなれないといわれるほど、世界でも有名な嵐の海で、まず酔い止めの薬は必携品。船が木の葉のように本格的に揺れるのは、南極圏に入る南緯67度以南であるが、一杯飲んでぐっすり寝ている内に「目を覚ますとそこは氷の国だった」と言うことにでもなれば、それが理想的だ。
いずれにしろ乗船地からは1日半から2日の行程だから、我慢できない距離ではない。
南極半島の景観は圧巻である。
なだらかな丘や山並みが続くかと思うと、両岸が屹立した氷の崖で挟まれた海峡では、今にも頭上から氷河の塊が落下してきそうなスリルに満ちている。南極の自然を楽しむクルーズのハイライトである。
ここで予想だにしないのが、火山との出会いだ。
海底火山が爆発を繰り返して出来たデシプション島では、今なお火山活動が続いており最も大きな火口部に海水が入り込んで、船を停泊できるようになている。
海岸線近くに湧き出ている温泉は、80度もあって格好の露天風呂となっている。南極で水着姿ではっしゃぎまわるなど夢想だにしなかったことだ。ビーチでは早速、赤ワインとウィスキーをミックスしてホットワインが用意され、南極の海で海水浴という珍しい贈り物に、参加者は大喜びだ。