Part 6: カン

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男子修道院




カン駅に着く。ここを訪れるのは1979年の12月以来である。随分と駅舎が新しくなっていた。今回はバイユーからルーアンへ移動の間に駆け足で再訪するだけの短い滞在。

聖ピエール大聖堂正面

駅から鉄道の高架をくぐり、旧市街に入ったバスは「6月6日通り」をまっすぐに城趾へと進む。駅から城趾までは1.5kmくらい。

聖ピエール寺院の高い尖塔が見えてくるとようやく記憶が鮮やかに蘇ってくる。高い尖塔は有名な鐘楼をなしている。鐘楼は上陸作戦時の戦闘で壊滅的な被害を受けたが、戦後建て直され、現在では戦災を受けたとは思えない。

征服王ウィリアムの居城

バスを降りて聖ピエール寺院の中に入る。ゴシック形式の教会は高い天井に列柱が並び、厳かな雰囲気を保っている。

教会を出て城趾へ。この城はフランス各地にある優美な城ではなく、がっちりとして飾り気の少ない戦闘本意の城である。無骨な城塁や機能本意の跳ね橋は、まさに中世の城というイメージにピッタリ合致する。

女子修道院は、15年前に内部を見そびれたため、是非とも立ち寄りたい場所の1つでったが、残念ながら工事のため閉鎖中で、隣接するサント・トリニテ聖堂のロマネスク様式の建物の外観を写真に撮るだけで終わった。

女子修道院

ここには王妃マチルダの墓がある。男子修道院はウィリアム王が、女子修道院はマチルダ王妃がそれぞれ教会に寄進したもの。

女子修道院を後にして,残されたわずかな時間を町の散策で過ごす。歩いて駅前までもどり,かつて泊まったホテルのカフェで一服。トイレの電灯が扉をロックすると自動的に灯くところは昔のままである。用を済ませて席に戻ってカウンターを見ると,そこには懐かしいオーナーの顔があった。
懐かしいカンの町を後に、ルーアンへ向かう列車に乗り込む。


【ミニ・メモ】  Caen (カン)


カンは「ノルマンの英国征服」で有名な征服王ウィリアムが城を築いた町で、上ノルマンディーのルーアンと並びノルマンディー公国の都であった。現在も下ノルマンディーの中心都市である。ウィリアムの居城跡、ウィリアム王の建てた男子修道院、マチルダ王妃の建てた女子修道院などの建物が見られる。

上陸作戦時には爆撃や戦闘で市の4分の3が失われたが、これらの建物は幸いにも被害を免れた。現在は戦火を免れた旧市街と戦後の復興計画で生まれたモダンな新市街が対照的な姿を見せている。
距離的にすぐ近くのバイユーがすぐに解放されたのとは対照的に、カンのドイツ軍の抵抗は強く、6月6日のD-DAYからカン市の解放まで2ヶ月近くを要している。

この地方の名物料理はカン風トリップという内蔵料理。また、リンゴを原料とする蒸留酒「カルヴァドス」が有名。


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