日本人観光に本腰をいれるバルカン地域の新魅力

2017年06月06日 掲載

このエントリーをはてなブックマークに追加
はてなブックマーク - 日本人観光に本腰をいれるバルカン地域の新魅力
Share on Facebook
Post to Google Buzz
Bookmark this on Yahoo Bookmark
Bookmark this on Livedoor Clip
Share on FriendFeed


 6月に入り、そろそろ夏休みの海外旅行の計画をはじめている日本人観光客のために、開発途上国への国際協力を行っている独立行政法人国際協力機構(JICA)と、ターキッシュ エアラインズ(TK)の共催による、バルカン地域への日本人観光客の増加を目的としたプレスツアーに加わり、地域内の、セルビア、モンテネグロ、アルバニアの3カ国を、世界遺産、絶景地巡り、人々とのふれあいを主な目的に、9日間の日程で視察して来た。

(*印をつけた世界遺産の詳細は日本旅行作家協会のウェブサイト「私のイチ押し世界遺産」に別途掲載のため、ここでは概要だけ記述)

 ところで、バルカン地域という地理感覚が、未だ多くの日本人には馴染みが少ないため、バルカン地域という国々が、どこの国を含んでいるのか分からないことと、旅好きの人達でさえもバルト3国と間違った国々を思い浮べる人がいるかも知れない。

 しかし、旧ユーゴスラビア連邦とイメージすれば、ほぼ近い現状で、日本からは、ターキッシュ エアラインズがイスタンブールで乗り継げるバルカン諸国行きの便を毎日運航しているため、飛行時間も西欧主要都市を経由するより利便性が高い。


Balkans_TK_00

画像提供:ターキッシュ エアラインズ



 さて、EU加盟の候補国にもなっているセルビア。首都ベオグラードの南西約100㎞に、ストゥデニツッア修道院という1986年に世界遺産に登録されたセルビア最大の男子修道院がある。教会はロマネスク様式とビザンチン様式が融合するラシカ派建築の傑作とされ、ここには、一般旅行者も滞在できるゲストハウス(教団宿泊所)が併設されている。

 モンテネグロは、バルカン地域としては国土が最狭の国にもかかわらずエコツアーに好適で、欧州でも最大級といわれる渓谷や、四季を通じて大自然と触れ合え、1980年に世界遺産に登録されたドゥルミトル国立公園がある。


ストゥデニツッア修道院の教会外観 初冬のドゥルミトル国立公園内の湖畔

左:ストゥデニツッア修道院の教会外観
右:初冬のドゥルミトル国立公園内の湖畔



 一方、その美しさで群を抜くアドリア海沿いにはビーチリゾートが何か所もある。中世時代に貿易の中心港として栄えたコトルは、1972に世界遺産登録された。コトル湾とシュクルダ川の両隅を石壁で囲まれた歴史地区の一角には、高いツイン鐘楼の聖トリプン大聖堂、聖マリア教会、建てられた当時のままの小さなフレスコ画の残る聖ルカ教会など、12世紀に船員達の航海安全を願って建てられたロマネスク様式の建築に混じって瀟洒なブランド品のブティックもある。コトルに滞在すれば、欧州の王族や世界のセレブも数多く訪れるリゾートタウンのブドヴァと、山の断崖に建てられた、奇跡を起こしたバシリエ聖人が埋葬される、オストログ修道院へのエクスカーションも楽しめる。


ロマネスク様式の聖トリプン大聖堂  山の断崖に建てられたオストログ修道院

左:ロマネスク様式の聖トリプン大聖堂
右:山の断崖に建てられたオストログ修道院

 

ブトリントの円形劇場遺跡

ブトリントの円形劇場遺跡

 アルバニアは、関東地方より一回り小さい国土にもかかわらず、自然豊かな絶景が体験できる12の国立公園や2つの世界遺産と、イオニア海沿いに広がる美しいビーチが観光の柱である。社会主義時代の豪邸を改装したノスタルジックなホテルや、近代的な高級ホテル群が建ち並ぶビーチリゾートのサランダは、ギリシャ国境に近く、車で30分のブトリントには、1992年に世界遺産登録されたギリシャとローマ帝国時代の遺跡がある。

 また、車で2時間ほどのベラットは、社会主義時代に「2400歳の博物館」という博物館都市宣言を行った町。斜面を埋め尽くすような民家の窓が、別名「千の窓の町」として知られている。城壁に囲まれた丘の頂上から町を見下ろすと、南側を流れるスミ川に接して対岸側にはギリシャ正教会系の住民が、城壁側の斜面にはレンガ色の屋根に白壁のイスラム教徒とキリスト教教徒の民家が並んでいる。ここから100㎞南には、オスマン帝国時代のアルバニア最大の城跡が残るジロカストラがある。ここは「石の町」と称され、2カ所を併せてベラティとジロカストラ歴史地区として2005年に世界遺産登録された。


Balkans_TK_01  ジロカストラの城壁跡

左:「千の窓の町」の別名があるベラットには斜面を埋めつくすように民家が建ち並ぶ
右:ジロカストラの城壁跡



 今回視察した3カ国はいずれも物価が安く、ワイン、ラキア、アラックなどの農産品や、驚くほどの安さで提供される鮮度抜群の海の幸など、豊富な食材はグルメツアーにも事欠かない。

 これまで日本人旅行客が年間5,000人程度に留まっていたというバルカン地域だが、このようなビーチリゾートでの滞在を組み合わせての観光振興策を強化すれば、メディアへの露出も増えて知名度が上がり、日本人旅行客の増加も見込める高いポテンシャツが持てる国々だと思っている。(文/写真 鈴木一吉)


このページの先頭へ