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エコツーリズムと旅行業
エコツーリズム発展の歴史とその対立する要因NO.2−2

エコツーリズムアドバイザー
ローリー・ルーベック


◆ あるべき姿を求めて

 わずか2年と少しの間に、エコツーリズムは時代のテーマになりました。しかし、本当に大切な事は経済活動を生み出しながらエコツーリズムを通じて環境保護をどう支援していうのかという事です。

 私が述べてきたなかで重要な事は、少なくともオーストラリアではエコツーリズムが持つ環境保護の役割が応分の注目を得つつあるということです。この事は極めて重要です。自然環境を単なるデスティネーションとするということがエコツーリズムとするならば、エコツーリズムは単に自然の破壊を加速するだけのものであり、見過ごすわけにはゆきません。これらの問題の解決に貢献している最近のいくつかの例を以下に紹介いたします。


オーストラリア・エコツーリズム協会では倫理綱領を作り、ほかの企業・団体の健全な基準作りに大きな影響を与えています。同協会はまた資格制度についても検討しています。
いくつかの州政府、とりわけビクトリア州やサウス・オーストラリア州ではエコツーリズム計画をまとめています。
先の予算で連邦政府は国家エコツーリズム計画の完成と実行のために1,000万ドルを割り当てています。
オーストラリア政府観光局はすべての自然志向の旅行会社を対象にアンケートを行いました。アンケートではその事業が環境への影響を最小限にしながらも相応の利益を得ているかどうかの重要な点について聞いています。このアンケートは次の2冊の出版物の基礎をなしています。すなわち、「The Natural Holiday Guide」とオーストラリア消費者協会の近刊「Ecotourism and Nature−based Holiday」の2冊です。
1994年のオーストラリア政府観光局のテーマは「大自然」でした。多くの環境商品が人々の目にふれることになりました。
PATAオーストラリア支部では、検討材料として「観光における地域の特性」をまとめました。その中で、地域の特性に基づく観光の推進と同時に社会的・環境的な責任に対する意識向上を計ろうとしています。

オーストラリアでは、スキューバダイビングを楽しむことができる
 しかし、これらの活動はすべていかに述べるような適切な原則がなければ、持続可能なエコツーリズムを推進することはできません。

1.指定公園以外の保護地域の明確化とそれを保護するための適切な法律。

2.保護地域の管理に精通したタスクフォースと十分な予算。

3.観光業はその土地の生態系が持つ制約の範囲内でのみ受け入れられるということを認める事。この原則は、特に文化・自然遺産を守るために保護された地域に特に重要です。従ってこれらの地域における観光業は文化・自然遺産の保護により制限されなければなりません。