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カリフォルニアの新しい風を楽しむ | |
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カリフォルニア・ワインのふる里を訪ねる | |
写真=肥沃な田園風景が広がるローダイ | |
■ モンダヴィ・ファミリーの原点 カリフォルニアのワインの産地というとナパやソノマが有名だが、今回最初に紹介するのはサクラメントの南、肥沃なデルタ地域に広るローダイだ。サクラメントから車でわずか40分、AVA(政府公認ブドウ栽培区画)に指定されているここローダイはカリフォルニア州最大のブドウ生産量を誇り、数多くの良質なワインを産出している。その品質の高さから、地元関係者は「ナパを抜き今やカリフォルニアでナンバー・ワン!」と胸を張る。 ローダイには60のワイナリーがあり、そのほとんどが家族経営の小さなワイナリーだ。フランスの5大シャトーのひとつ、シャトー・ムートン・ロートシルトとの合作で生み出された高級ワイン「オーパスワン(Opus One)」やカリフォルニア・ワインの父として知られるロバート・モンダヴィ(Robert Mondavi)がイタリアから移り住みファミリーでワイン造りを始めたのもこの地で、そのモンダヴィの顔ともいうべきシリーズ「ウッドブリッジ(Woodbridge)」のワイナリーもローダイにある。 | |
写真=ローダイ・ワイン&ビジター・センター |
ローダイを訪れたら、まず立ち寄りたいのが「ローダイ・ワイン&ビジター・センター」だ。ここではローダイのワイナリーが掲載されたワイン・トレイル・マップなど詳細な情報を入手できるほか、併設されたワイン・ショップではこの地区で生産された150種類のワインがテイスティングできる。もちろんワインや関連グッズも販売されているので、ワイナリー巡りをする時間がない人には特に便利だ。ワイン選びに困ったら、スタッフに気軽に相談してみよう。親切丁寧にアドバイスをしてくれるはずだ。 ■ ジンファンデルを味わう カリフォルニア・ワインというとその口当たりの良さと軽さが評判だが、一般にタンニンの強いワインを好む人にはもの足りなさを感じさせる。だが、そんな人にも是非とも味わってもらいたいのがローダイの「ジンファンデル(Zinfandel)」だ。 |
ジンファンデルは、ゴールド・ラッシュの時代に盛んに栽培された赤系ブドウの品種。古くから存在するブドウの品種ではあるが、そのDNAは比較的近年になってから発見された。現在でもアメリカではカベルネ・ソーヴィニヨンにつぐ生産量を誇っており、ローダイはこのジンファンデルの栽培に最も適していると言われている。タンニンと酸味が少ないフルーティーな味わいが特徴で、後にほのかなペッパーの風味が残る。 味の好みは人それぞれなのでこれはあくまでも記者の私見だが、ローダイのジンファンデルは若干甘さはあるものの、ギュッと凝縮されたブドウの甘味が重厚感に似たものを感じさせてくれるので、白カビタイプのチーズと組み合わせてもその強さに負けてしまうことはない。カリフォルニアの他のワインではなかなか難しいチーズとワインといったオーソドックスな組み合わせで楽しむなら断然これがオススメだ。 但し、ビジター・センターのスタッフからの情報によると、カベルネ系の品種を好む人にはこのジンファンデルは向かないとのこと。だから、カベルネ・ファンにはあまりオススメしない。念のため・・・。 |
ジンファンデル以外の赤系品種を試すなら、「カベルネ・ソービニヨン(Cabernet Sauvignon)」や「サンジョベーゼ(Sangiovese)」、「シラー(Sirah)」がオススメだが、白系ブドウ品種なら熟したトロピカルフルーツのような味わいが口いっぱいに広がる「シャルドネ(Chardonay)」だ。イメージとしては、デザート・ワインとして珍重される貴腐ワインを少しすっきりさせた感じと言ったところだろうか。 とにかく口当たりが良いので、普段余りワインを口にしないという女性に是非試してみてもらいたい。食事の時に甘口のワインを合わせることに抵抗があるという人は、食後やティータイムにデザート・ワイン感覚で味わってみて欲しい。 |
写真=ビジター・センターの横には ミニ・ヴィニヤードがある |
いずれにしてもローダイのワインは全体的に品質が高いので、どの品種を選んでもワイン初心者から上級者まで満足させてくれるに違いない。しかもそれが比較的手ごろな値段で味わえるのだから嬉しい。
■ 進化するカリフォルニア・ワイン カリフォルニアのワインを心底楽しむのであれば、まず常識や偏見を取り払いたい。 というのもヨーロッパのような伝統的なワイン造りが本物だと感じている人がカリフォルニアのワイナリーを訪れると、時にその近代的な設備や手法に驚くことがあるかも知れないが、PART1の『ディープ・カリフォルニアの魅力を求めて』でも触れているようにカリフォルニアは現代米国文明の発信基地だ。何事にも常に新しい試みが行われ、ワインも例外ではない。今はまだ少々荒削りなところがあっても、近い将来オーパスワンのようにワイン愛好家たちを唸らせるような新たな逸品を市場に輩出してくれないとも限らないからだ。また、それを期待したい。 世界でその市場を拡大し続けているカリフォルニア・ワイン。現在では日本でも手軽に味わえるようになったが、問題はワインはとてもデリケートな飲み物であるということ。振動に弱い上、湿度や気温の変化にとても敏感だ。これはカリフォルニア・ワインに限ったことではないが、いくら輸送や保管に徹底管理されているといっても日本の市場に出る頃には長旅で疲れてしまっているものも少なくない。ワイン本来の味や良さを知るなら、やはりこちらから彼らの生まれ育った場所を訪れて味わってあげるのが一番なのだ。 カリフォルニアに行って、旅立ち前のありのままのカリフォルニア・ワインを味わってみよう!きっと印象も変わるはずだ。ローダイなら、その期待に十分応えてくれる一本と出会えるに違いない。 (若井真理) |
取材協力:カリフォルニア州観光局 Lodi Conference & Visitors Bureau 最終更新日:2006年6月12日 |
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