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★私見 その1・・「新生香港」

 先ず、今までの「香港観光」の看板を「新生香港の観光」もしくは「新香港の観光」に塗り替えたい。あえて「新生香港」とか「新香港」などを冠することによって、これからの香港観光は今までのパターンを引きずったものではなく、全く新しい環境の下で生まれる新鮮な観光素材によって演出された1味違った新しい香港観光の誕生を示唆する効果を狙いたいのである。

 同時に「新生香港」の名の下に香港の専有的魅力を浮き出させ、香港観光の新しいアイデンテイテイを打ち出したいのである。


★私見 その2・・変わる香港の面白さ

 次に、「香港は変わらない」では文字どうり変わり映えがしないし、面白みがないので敢えて「変わりつつある香港」を売り物にする。今までの香港観光の魅力そのものは全く変わらないが、「変わりつつある」のは香港の雰囲気であり、新しく生まれた観光素材であり、良い意味での中国化しつつある面白さであり、今までの香港だけの「香港」ではなく、「中国の香港」として、敢えていえば、中国の表玄関としての役割も出てきた「新生香港」の新鮮な魅力を強調したい。  


★私見 その3・・『表』と『裏』のブーム

 返還前の香港に興味を持った人々は、いずれ、香港の中で何がどう具体的に変わっていくか、ということに強い関心を持ち始める筈である。返還前に、「今のうちに英国植民地時代の香港を観ておこう」という香港ブームが起こったのであれば、それに対比して、返還後は、「生まれ変わった香港の雰囲気にふれてみたい」とか「中国の影響でどう変わり始めたか、この目で確かめてみたい」、「中国料理はどうだ、ショッピングはどうだ」などという探訪欲が沸いてくる理屈なのである。

 ここに、返還の後にも、やりようによっては再び「香港ブーム」を巻き起こすことができる観光マーケテイング上の「素地」があるのである。この観点から次のような『表』と『裏』の論理が生まれる。

 返還前のブームを『表』のブームとすれば返還後起こり得べきブームは『裏』のブームといえよう。この、「どうなったか/どうなるか、見てみたい」という『裏』の興味は、返還前の『表』の興味が大きければ大きいほど正比例して大きくなる道理である。また、大きな『表』の興味があったのに『裏』の興味がゼロということは有り得ないのである。


★私見 その4・・『裏』の需要喚起

 ここで要求されることは、市場に発生する『裏』の興味をどう煽り、どう束ねて大量需要にもっていくか、ということである。当然、そのための仕掛けが必要になる。例えば、守られている治安、人心の安定、「中国の香港」としての拡大された香港観光の舞台などをマスコミに強くアピールしながら、新しく生まれた『裏』のマグネットを駆使し、少々オーバー気味に、絶え間なく旅行業界と観光市場を刺激し続ける積極的なマーケテイング戦術を試みる。

 しかし、『裏』ブームのマーケテイングを開始する前に先ず必要なことは、返還を境にしてこれからいよいよ「新しい香港」の『裏』のブームが始まる、という強い信念を持つことである。その信念によってこそ道は自ずから開けるというものである。マイナス現象をすべて「返還前のブームの反動」として片付け始めたら事は絶対に前に進まない。


★私見 その5・・高いホテル料金は『裏』をつぶす

 次に、これは切実な問題だが、『表』のブームたけなわの頃、旅行市場を呆れさせた、特にホテル業界に見られた、あの「稼げる時に徹底的に稼げ」式の営業姿勢は、『裏』の段階にまで引きずってもらいたくないということがある。『裏』のブームは短期決戦で終わらせる性質のものではないのである。高いホテル料金は日本からの香港観光の約60%を占めるパッケージツアーをもろに直撃するだけではなく、いったん「高い」というイメージが定着すると、消えるのにどんなに早くても1ー2年を要し、ブームどころではなくなるのである。日本人観光客はハワイやソウルなどにとられることになろう。

 しかし、これは、個々のホテルのマネージメントを説得すれば解決するという問題ではない。香港行政区が観光産業からの収入を重視するのであれば、それなりの長期展望に基ずく抜本的政策を早急に打ち立てる必要があろう。 



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