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野菜は洗わず皿は濯がず夜は早寝で手も洗わず


 普通、料理は野菜を洗うところから始まるが、イギリスではそうでない。人参や玉葱などはどうせ剥くからと、洗わない。それにかかる水道代の方がもったいない、ということらしい。さらに驚くことには、イギリス人は洗剤をつけて洗った皿をすすがない。流しに水を溜め、洗剤を注ぎ、スポンジで洗った食器はそのまま泡を切っただけで、お皿たてに立てる。ちなみに洗剤は有毒ではない、というのが彼らの言い分らしいが。

 水道に限らず、電気やガスを非常に貴重に使う。ホームステイやフラットの部屋を間借りしているなど光熱費が大家持ちの場合は、必ず無駄に使うと怒られる。

 風呂も長い時間シャワーを浴びていると文句を言われるし、だいたい夜遅くになるとタンク式のためお湯がでなくなる。セントラルヒーティングもタイマー式なので、だいたい夜11時過ぎにはすーっと冷たくなるようにセットされている。夜型の日本人にはイギリスの冬は辛い。12時過ぎてもこうこうと電気をつけ、光熱費のかかる温風ヒーターを回したり(結構響く)している。さらに日本人の場合、テレビにCDプレーヤー、ワープロ、ドライヤーやアイロンに至るまで電気製品所有率が高い。いくら金払いが良くてきれいに使うからといっても、この点は嫌がられているかもしれない。

 話は逸れるが、意外だったのはイギリス人は生活が比較的規則正しいこと。12時過ぎには学生、社会人、無職の若者、皆床につく。で、朝は7〜8時の間に起きている。夜更かしや朝寝坊はそれこそ週末だけである。最もどこの国にも怠惰な生活をしている人はいると思うが、夜は意外と早い。パブが一応11時に閉まるということからも、あまり夜更かししないしくみになっているのだ。確かにこういった規則正しい生活なら無駄な光熱費も使わないものね。

 風呂に入るのも、何か仕事をするのも夜中の私は非常に寒い思いをした。何人かでフラットシェアしている時(フラットというアパートに共同で住むこと)、風呂も最後でお湯はなくなってるし、ヒーターは10時半ごろ冷たくなるし、仕方がないのでベッドにワープロを持ち込んで叩いていたら、姿勢の悪さと寒さで腰を痛めてしまい大変な思いをした。とっとと先にたっぷりお湯を出して風呂を済ませばいいものを、先に入った時はあんまり使うと次の人が気の毒、と遠慮したりして、結局ますます体調を崩すはめになった。

 また話は飛ぶが、私はトイレで何度も手を洗わないで出ていく人を目撃してしまった。これは資源の節約のためなのか、単にめんどくさいのか、その疑問を解かないまま帰国してしまいましたが、手を洗わないのは意外とキレイでカワイイ系の人が多かっただけに今だにちょっと気になっている。

  
カウンシル・フラット(公団)の台所 こんなたっぷりお湯を出すとたいてい途中
   から水になる。


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