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大学の予算を担う外国人学生

 今イギリスの大学は流動期である。かつてのポリテクニック(日本の留学雑誌では専門学校などと訳されていたが、これは必ずしも正しくない。大学と同等な学位を取れる学校である)は大学と名前を代えた。大学は政府からの補助を減らされ、経営を重んじられるようになった。そのため今大学は外国人の生徒取得に躍起になっている。なぜなら外国人に比べ何分の1かの安い金額を政府からの補助金でしか納めないイギリス人は財政源にならないのだ。外国では馴染みのないポリテクニックが大学と名称を代えたのも外国人学生を獲得するためとの噂もある。
 聞いた話しでは、ある日本人が学校を途中で辞めようとして、事務所に言ったところ、「あなたは予算の一部なんだから!(辞めてるなんてどういうことだ!!)」と言われたそうな。日本人生徒は札束にでも見えるのだろうか?入学の時点で外国人枠が決められているらしく、中でも金払いの良い日本人は学校にとってウエルカムなのだ。もちろん日本人ばかりでなく、アジア人(ただし金払いの良い)はいいお客さまのようで、ロンドンにある某大学はマレーシアで「あなたもイギリスで学位が取れる!」といったような宣伝をしているという。比較的豊かな国であるマレーシアはターゲットとされているらしい。実際この大学の校内に入ったことがあるのだが、なぜか擦れ違う生徒のほとんどはアジア人で、いったいここはイギリスなの?といったような光景だった。
キャンティーンでくつろぐ生徒たち
 まあこれで授業内容が充実しているのなら、問題はないのだが、そうはいかない。生徒数は2倍に増えたにもかかわらず教師や設備は現状維持。生徒も十分な指導が受けられず、先生側の負担も増している。
 私が行っていたロンドン・インスティチュートの内のひとつではちょうど学部が移転したところで、未だ組織や設備が不完全なまま、学期が始まってしまった。そのいい加減に生徒が怒り、ストが起こりかけたほど。特に授業料を自分で負担しているイギリス人の怒りはすごかった(といっても外国人の払う 10分に1しか払ってないのだが)。イギリス人にとっては教育は与えられるもので、高い金を出して行くものではないらしい。政府の援助だけで全く授業料を払わずに3年間大学に通った人もいるし、学生はその他にも住宅手当といった補助を受けられたりと、外国人にとっては羨ましい限りである。これはイギリス人ばかりでなくECに加盟する国出身の人なら同様の補助が得られる。するとまともにお金を払っている外国人は何か損した気にもなる。しかし、ECの生徒言わせると日本人は(お金を全額払うから)学校に入りやすいんだろ、と嫌味を言われる。
 その点、日本やアメリカは地元民への特別な授業料での優待制度はなく、あるのは奨学金とあくまで実力主義。その方が教育を受ける立場としては平等でなはいか、と初めて感じました。

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