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ダルマチア・レッガタ


 御存知の通り旧ユーゴスラビアにはデイトンの和議以降平和が戻り、砲撃の危険は無くなった。ただ今年5月のウイーンでの情報では、観光客の戻りは予想したよりも遅れているようである。

 参考までにこのダルマチア・レガッタへの参加国を記すと、ハンガリー、イタリア、ドイツ、チェコ、クロアチア、フランス、オーストリア、ロシア、スウェーデン、スロヴェニア、米国である。それに英国、カナダのマスコミも参加している。

 日本人に人気のあるガイドのブライロさんの案内でエクセルシオール・ホテルから朝日を背に城壁に囲まれた古い街、グラートにアプローチすると、お城の入り口の海岸に倉庫のような建物が並んでいる。これが外国から来た人々を検疫のため二週間拘留した場所である。門を入って先ず案内されたのが東の広場にあった泉で、修理中だったので1991年の砲撃を免れたという。

 東の広場に面したサンブラズユス協会は、北正面上部のステンドグラスが未だ修復されていない。地面の所々に×印がついていてこれも砲撃の跡の未修理の部分である。この教会はヴェネチアン・バロックで内部は薄暗いが、ドイツ・バロックに比べれば簡素である。この広場から南に向かった奥の正面にドームがある。これはローマン・バロックで更に白っぽく簡素で明るい。主祭壇はチシアンの作と言われているが、私のチシアンのイメージにはしっくり来ない。


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