船内生活も、活気を帯びはじめる。講座、講演など街中のカルチャースク−ルも顔負けなほどだ。俳句教室や囲碁講座。また、吉村作治氏の「「古代エジプトの魅力」、青木昭氏の「システーナ礼拝堂とヨーロッパ文化」などの講演は、これから訪れる地に因んだものである。
船上で予備知識を仕入れながら、世界を回れるのもクルーズの強みだ。夜は、紅海盆踊り。暮れ始めた紅海を背景にデッキディナーが始まった。数々のご馳走に加え、おでんや秋刀魚の塩焼きといった懐かしい味も並ぶ。そして食後は、櫓の上で打ち鳴らす太鼓にあわせて、東京音頭の輪が広がっていった。確かに、クルーズは道中をも十二分に楽しませてくれる旅だと納得する。
スエズ運河
3月29日7時30分。前半のハイライトの1つ、スエズ運河通過の時がやってきた。飛鳥は、北航船団Bグループの先頭をつとめ、その後ろにコンテナ船など15叟のコンボイが連なった。右舷のシナイ半島側には白い砂漠が続き、戦車の残骸など、戦争の爪痕が残っている。
左舷のアフリカ大陸側は、緑が茂り、民家が点在し、生活の匂いがする。全長162キロ。インド洋と地中海を結ぶ世界最大の水平海洋運河の通行料は約1800万円もするそうだ。19時。ポートサイドに入港した。
翌日はポートサイドから、パトカーに先導され、バス12台を連ねてカイロへのツアーに出発する。前日を思わせる、陸上コンボイのお通りだ。考古学博物館や、ギザの3大ピラミッド、スフィンクス等を見学、悠久の歴史に思いを馳せた。
4月1日ギリシャのピレウスに入港。アテネでオリンピック聖火発祥の地等を観光する。サントリーニ島、ロードス島と2日間かけてエーゲ海の島巡りを楽しむ。
4月5日、トルコのイスタンブール。それまで晴天が続き、夏のような日差しを浴びていたが、初めて霙模様の雨に降られる。
サンマルコ広場
イタリアのベニスでは、サンマルコ広場のほぼ正面に姿を現した日本の客船・飛鳥の優美な姿に、地元っ子達から歓声があがった。
チベタベキア、マルセイユと旅は続き、ちょうど4年前、オリンピックに湧いたバルセロナへ。地中海の締め括りポルトガルのリスボンでは、僚船クリスタル・シンフォニ−と並んで着岸した。両船の船客やクル−達が相互訪問し、飛鳥船上ではリスボン市長の歓迎セレモニ−が行なわれた。
クリスタル・シンフォニー
飛鳥は地球を約半周し、アゾレス諸島を経てアメリカ大陸へと向かった。