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< パート1>
一際大きいカーニバルデスティニー |
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「モンスターがいたぞ! いいかいアン、これから僕達はあのモンスターに乗るんだ」。
1997年1月。マイアミ港に向かう送迎バスの中で、突如響いたアメリカ人夫婦のはしゃぎ声。指さすほうを見ると、そこには世界一大きな客船カーニバルデスティニーの目を見張るような巨体がそびえていた。グラマーな色白美人にモンスターなんて表現は、失礼な気もするが、怪物さながらに、大きくて物凄い、未知の物体との遭遇に、彼らは浮かれ切っているのだ。
確かに、客船史上初の大型客船は、乗る人を未体験ゾーンへと誘う、心沸かせるものがある。ましてや、このカーニバルデスティニーの10万1千総トンという大きさは、これ迄の客船の常識をまったく覆すものであった。
ネオンつきエレベーター |
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1988年。当時「世界一大きい客船」と鳴物入りでデビューしたソブリンオブザシーズ(7万3千192総トン)以来、7万総トンクラスの超大型客船が次々に誕生し、クルーズは新しいメガシップ時代に突入した。一方、過去の客船史を振り返ると、最大は、クイーンエリザベスの8万3千673総トンであった。これらと比べてみても、カーニバルデスティニーが、いかに圧倒的な迫力をもってクルーズに参入してきたかおわかりいただけるだろう。
本船がデビューした昨年、世界のクルーズ業界は、この話題で持ち切りであった。
カーニバルデスティニーの船会社は、世界最大手のクルーズ社の1つ、カーニバルクルーズ社。社名からも察しがつくように、このクルーズ社は、まるで船上にお祭りを再現したかのような、明るく陽気なカジュアルクルーズが特徴で、キャッチフレーズも「ファンシップ」。これまでも肩の凝らない愉快なクルーズを追求し続けてきた。そんなカーニバルクルーズ社が生み出した、客船史上初の超10万総トンの船の名前が「カーニバルデスティニー」(カーニバルの運命)。船名からも社運をかけた意気込みと祈りが伝わってくるようだ。