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「スーパーアクション映画の舞台は、世界有数の豪華客船」

”スピード2”の船/
シーボーンレジェンド・東洋の宝石クルーズ



シーボーンレジェンド

 空前のヒット作品となった映画「スピード」。
 その続編として製作された「スピード2」の舞台は、なんと豪華客船である。カリブ海をクルーズ中に、シージャックされ、船のコントロールシステムをすべて乗っ取られた、暴走する客船。青い海、灼熱の太陽と戯れるはずのバケーションは、危険に継ぐ危険の連続に一変し、しかも犯人が、船の進路を巨大タンカーに向けてセットしたから堪らない。

 「タンカーに衝突炎上か?それとも島に激突か?」。
 こんな絶体絶命のピンチにも勇敢に立ち向かうのが、サンドラ・ブロック演じるヒロインのアニーだ。彼女の大胆な行動力とチャーミングな笑顔が、ますます観客を引きつけ、まさに手に汗握るノンストップアクション映画として、世界中にスリルと興奮をふりまいたのだった。

 さて、この映画の舞台となったのが、客船シボーンレジェンド(1万総トン、問い合わせ先03−3832−8411)である。冒険映画の第一人者、ヤン・デ・ボン監督に気に入られたシーボーンレジェンドは、映画製作のため6週間チャーターされ、操舵室、マリーナ、5つの客室では、実際に撮影も行なわれたという。

 ところが、本物のシーボーンレジェンドは、映画とは180度異なるエレガントさが特徴で、フィールディング・クルーズガイドで最高の6スターを獲得し、スターンズ・クルーズガイドでは、最もデラックスなブラックリボンクラスで、最高得点の5プラスに輝いた、世界トップクラスの豪華客船なのだ。船客の中心層は、欧米の大富豪達。この船の高品質な食事、極上のサービスには定評があり、優雅窮まりない大人のクルーズを提供している。


 97年8月、このシーボーンレジェンドが、日本へやってきた。「東洋の宝石」と題したクルーズで、金沢、函館、東京、鳥羽、大阪、長崎と立ち寄り、その後、韓国、中国へと向かうたコースだ。
 外国客船に乗り、日本を巡ると言うだけでも十分にユニークなのだが、私にとって今回ほど「非日常の世界」を体験したクルーズもめずらしい。
 東京港から乗船すると、早速ウエルカムシャンペンの歓迎。屋外のスカイバーで、白ワインとサンドイッチをつまみながら、レインボーブリッジを望むと、つい午前中まで、仕事の山と戦っていたことなど嘘のよう。
 確かに、目前に広がるのは、見慣れた東京の風景なのだが、ここは全く外国の世界。耳に心地よい異国語の響き。外国人船客の板に着いたカジュアルウエアの着こなし。そして、空気の香りさえ、どことなく、エキゾチック。
 隣の岸壁から旅立つふじ丸に、シャンペングラスをかざして、「ボン・ボヤージュ!」と、手を振れば、まるで外国映画の主人公になった気分だ。


翌日、バーへ行った時、この船のサービスが世界のトップクラスであり、ここは紛れもない「非日常の世界」であることを思い知らされた。
 カウンターに座った途端、まだこちらが一言も声をを発する前に、飲物が出てきたのだ。そして、バーテンが言うことには
「上田様、今日の口開けは、まず昨日のご注文と同じカクテルをこしらえてみましたがいかがでしょうか?お気に召さなければ、すぐに他のものをお作り致します」
 これには正直言って驚いた。たった2日のうちに、こちらの名前も、顔も、好みもちゃんと覚えているのだ。乗客数は162名だったが、小型高級プライベートタイプならではの、一人一人の好みを知り尽くした、舌を巻くようなサービスに「この船では悪いことはできないや。すぐばれちゃう」と日本語でうなった。




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