|前頁へお薦めクルーズクルーズ考へ戻る旅コムの目次へ



ガラスを多用した明るい船内

 とは言え、映画「タイタニック」の人気要因には、豪華でエレガントな船上生活への憧れが含まれていることは否めない。現代人の中にも優雅な雰囲気を望む人は多いので、その類の洒落た要素もこの船にちゃんと用意されている。
 「アクエリアス」という名前のメインダイニングルームは、シャンデリアが光り輝くまばゆいばかりの2階建てレストラン。上下階を結ぶ螺旋階段の絨毯を踏み締めながら、夜会服の裾を引いて入場すれば、気分は華やかこの上ない。
 テーブルに着けば、タイミング良く差し出されるフルコースメニューから好みのものをチョイス。世界で最も古い料理協会ラ・シェーヌ・ド・ロティセールの会員でもある同社自慢の料理に舌鼓。食事を盛り上げるのは、ウエイターのフレンドリーなサービスだ。
 食後は「マスカレード(仮面舞踏会)」という劇場でミュージカルを観覧。キャビア好きには、オショートルとセベルーガキャビアを置いているシャンペンバーがお勧めだ。

 これらの場所には、全ての船客が立ち入れる。客室のグレードによって乗船料金は異なるものの、パブリックスペースでの差はほとんどないのだ。つまり、高額キャビンの客が優先的に良い席でショーを見る、食堂のメニューが違うという訳ではないのが、最近のクルーズシステムの主流だ。
 クルーズは娯楽型の船旅であり、多くの人は楽しい休暇を過ごしにやってくる。その場が、立入禁止区域だらけではつまらないし、広いスペースを皆で分かち合ったほうが、伸び伸びと遊べる。同じ船旅でも、タイタニックのような交通手段としての役割が主であった時代のライナーとは性格が異なるわけだ。
子供遊戯室

 なかでもこのヴィジョンオブザシーズは「誰にでも門戸を開いてる客船」という点が大きな特徴なのだ。階級差別がないのはもちろん、あらゆる人のニーズに応えられるよう随所に工夫が施されている。身体障害者のための車椅子対応キャビンは14室。大人向けにはラスベガス張りのカジノもカラオケもナイトクラブもある。夜遊びでお腹が減たときの心強い味方は、24時間無料のルームサービスだ。
 そして、特筆すべきはロイヤルカリビアンインターナショナル社が誇る子供プログラム「クラブオーシャン」だ。3歳から17歳までを4つの年齢別グループに分け、専門のトレーニングを受けたスタッフが担当する子供クラブを通年用意し、お遊戯、ビンゴや動物ゲームなど、年齢にあったプログラムで遊べるシステムだ。海底模様をデザインした子供遊戯室も可愛らしい。ゲームセンター、子供ディスコ、そしてなんとティーンエイジャー専用のナイトクラブまであるのには驚いてしまう。
 ハンバーガー、マカロニチーズ、ステーキからアイスクリーム、プリン、シェイクなどが並ぶ子供用メニューも準備。こんなプログラムがあれば、パパやママもたまには子供から開放されのんびりできるし、子供たちにとっても、新しい出会いとお遊びがいっぱいの楽しいバケーションとなりそうだ。

 長い間、ロイヤルカリビアンクルーズラインの名称で親しまれきた同社だが、1997年にロイヤルカリビアンクルーズインターナショナルへと社名を変更した。これは、クルーズコースも客層も国際的に広げて行く新たな決意を強くアピールするためだという。
 確かにこの披露クルーズには、アメリカ、ヨーロッパ、中近東、アジアなど広域から多数のプレス陣が招かれていた。これまで幾度も宣伝用クルーズや披露クルーズに乗船したが、船上でこれほど多くのアジアから来たジャーナリストに出会ったのは初めてだった。
 一部の富裕層だけを対象にせず、手頃な料金、最先端の設備、そして心のこもったサービスで、みんなが楽しめる洋上のバケーション。ヴィジョンオブザシーズはこれが現代人気のクルーズスタイルだと言うことを教えてくれた。

-2-

|前頁へお薦めクルーズクルーズ考へ戻る 旅コムの目次へ