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ダンスクラブ、
ジキルとハイド

 日本をイメージしてデザインされたショーラウンジの名前はミカド。扇形の緞帳にも、フロアにもテーブルにも、菊のご紋章に似た16枚の花弁を持つ金の花が描かれている。ここで、思わぬ人と再会した。数年前に乗ったクリスタルシンフォニー・アラスカクルーズのテーブルメイトで、カリフォルニアに住むボブとキャット夫妻だ。これまでは、高価なラグジュアリータイプのクルーズを好んで乗っていた人たちだけに意外な気がしたが「この船は、家族連れにとても良いね。世代別に楽しめる多種の娯楽があるもの」。彼らの意見に、私も大きく頷いた。

 確かに、イレーションでは、年齢に合わせた演出が巧みだ。例えば、独身者や、一人旅の船客を対象にした出会いの場、シングルパーティー。多くの船でよくやる催しだが、本船では「熟成した大人組」と「一般組」に分けていた。こんなケースは初めてだったので両方を見学。まず、「一般組」の会場はダンスクラブ・ジキルとハイド。ボディーを紅白に塗り分け、二重人格を表現した人形が壁を取り囲むちょっと無気味なディスコだ。人形に埋め込まれたビデオ画面からパフダディーの軽快なラップが流れ、20〜30歳代を中心に、風船割りゲームをしたり、クイズをしたり。終始、歓声が挙がるノリの良さでパーティーは進行した。

 一方、「熟年組」の会場はデュークスピアノバー。自由の女神の大きな頭像がアクセントとして映える都会的なバーで、ピアノを囲み、真の大人達(30歳代〜50歳代が中心だった)が懐メロで盛り上がり、粋な会話を楽しんでいた。
胸毛コンテスト

 子供たちには、海の見える遊戯室チルドレンズワールド。カーニバルクルーズの子供プログラム、キャンプカーニバルではお絵描きや、帽子作りのほかに、子供たち得意の隠し芸を披露する「キッズタレントショー」も開催された。家族はもとより、クルーズ中に顔見知りになったおじさんや、おばさんまで、ちっちゃなタレントの応援に駈けつける。私も食堂で隣のテーブルに座るモリッサちゃん(5歳)の歌を聞きに会場へ。12歳にして、ジャズダンス歴10年の少女による、大人顔負けのアクロバティックダンスもあれば、タネが丸見えの手品やいつ始まって、いつ終わったのか分からないピアノ演奏もあった。しかしどの子にも、惜しみない拍手と声援が送られ、メガシップとは思えないほど家族的なムードに心が和んだ。

 毎夕オープンする船上寿司バーもユニーク。しかも、日がわりの寿司が無料で食べ放題なのだ。米国保険衛生局の関係上、サシミは使えないそうだが、ゆでた海老や、焙ったカジキ、スモークサーモンなど、7泊の間に10種類以上の寿司をつくると言う。ヘルシーフードとして海外でも注目されている寿司だけに、フルコースディナー前の人気アペタイザー。2〜3皿つまんでから、晩餐へ向かうアメリカ人も多い。洋食ばかりでは辛いと言う日本人客にも、ほっと一息つける場になるだろう。

 メキシコの太陽を浴びたプールサイドでは、カーニバルクルーズ恒例の胸毛コンテスト。目隠しされたビキニ美人が、胸毛自慢の男達を採点してゆく。「ちょっとカールが物足りないわ」「この人は絶対蚊に刺されないと思う。だって皮膚に辿り着く前に胸毛に絡まって蚊が死んじゃいそう」。愉快な審判が下る度に、会場は大爆笑。隣のプールからは、カーニバル名物ウオータースライダーを、滑り下りる嬌声が聞こえてくる。カーニバルクルーズの掲げる「ファンシップ」思想は、子供から大人まで、陽気にリラックスさせてくれる。

 さて、このイレーションはロスアンゼルス発着7泊8日(毎日曜発)クルーズを行なっている。映画「イグアナの夜」の舞台となったプエルトバヤルタ、古くから太平洋航路の拠点として栄えたマサトラン、バハカリフォルニア半島の南端、日本ではロスカボスの名で知られるカボサンルーカスを訪れるコースで、いずれもメキシコ西岸屈指のビーチリゾートだ。

 これまで、ほとんどのメガシップはマイアミやフォートローダデール発着のカリブ海クルーズに集中していたが、ロスアンゼルス発着なら、日本からの飛行機便数も多く、前後泊無しで乗れるので、行きやすい。最新鋭のメガシップクルーズを体験する絶好のチャンス!夏休みの家族旅行などにぜひおでかけただきたい。


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