「セレナーデオブザシーズ」披露クルーズ
姿は洋上に浮かぶシャンデリア
手頃な料金で優雅なクルーズを奏でる珠玉のセレナーデ
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見目麗しい客船というのはとても魅力的であり、人々を惹きつける。その船の乗客になれたときは誇りにさえ思う。とくにクルーズ船の多く並ぶ港では、美しい船に乗っていることはまるで自慢の美人娘をもった親のような気持ちになり、胸を張ってギャングウエイを渡りたくなる。
さて、現存する客船の中で、もし美形トップ10を選ぶとすれば、私はロイヤルカリビアンインターナショナル(以下RCI)のセレナーデオブザシーズ(以下セレナーデ)を入れるだろう。
同社はボイジャーシリーズと呼ばれる14万2000総トンの世界最大客船を4隻も所有(2003年11月には5隻目が誕生)しているが、セレナーデの場合はこのシリーズではなく、大きさを9万90トンに抑え、その代わり隅々にまで洗練度と遊び心を行き渡らせた新しい高級志向クルーズ、バンテージシリーズの第3番船として、2003年の7月にデビューした。日本では世界最大客船の陰に隠れ、あまり話題にならないが、値段に見合う価値の高さでは、トップクラスのクルーズを行っているのがバンテージシリーズの船である。
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船の動きに合わせて水平を保つ 魔法のプールテーブル 船上ビリヤードは人気 |
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セレナーデの外観は、純白の船体と青味がかったガラスのハーモニーが美しく、ほぼ中央を貫く海の見えるエレベーター用ガラスドームがアクセントになり、洋上のシャンデリアのような出来栄えである。実際に乗船してみると、ガラスを多用した窓からも、屋根からも燦燦と陽光が降り注ぎ、明るさと清潔感が溢れている。ウキウキしながら船内を歩いていると面白いものを発見した。それは、「魔法のビリヤード台」だ。常識的に考えれば、揺れている航海中にビリヤードをするなんて不可能だ。船の傾きにつれて球があっちにゴロゴロこっちにゴロゴロではお話にならない。
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密林から顔を出す金色のエレファント 水辺に寝そべるタイガー 野性味がある |
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ところが、不思議なことに船が揺れてもここの球はピタリと止まったまま。その秘密はビリヤードテーブルに内蔵された機械にあった。ジャイロを利用した電子制御装置で自動的に台が常に水平を保つ手品のような仕掛けになっているのだ。陸上では体験できないユニークなビリヤードは人気の的であった。
ビリヤードクラブの隣はサファリクラブというアフリカ各地をテーマにデザインされた大きな合体ラウンジになっている。最後部にあるザ・コンゴバーは、床から天井までの大ガラス窓で囲まれた眺望抜群のバーで、白い航跡を望みながらひっそりとグラスを傾けるのがよく似合う。右舷側にはインド洋に浮かぶタンザニアのリゾートアイランドから名前を取ったザンジバル・ラウンジ。背の高いチェステーブルが置かれた趣のあるコーナーだ。左舷側はタンザニア有数のサファリパークをイメージさせるセレンゲティ・カードルーム。ブリッジやオセロなどのゲームが楽しめる場所である。
一方、全天候型のリラクゼーションプールであるソラリウムは、バリ島をはじめとするアジアをテーマにしたそうだ。プール正面の密林の中から巨大な黄金のゾウが顔を出し、オアシスで水を飲むごとくプールサイドにタイガーが寝そべる様は、まるでアジアのジャングルで泳いでいるような気分にさせられる。
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