そして、この式典を纏め上げたのはフランス産業担当大臣ニコル・フォンテーヌ氏の「両国を代表する産業の結びつきと、本日の美しいセレモニーは間違いなく日仏友好親善の架け橋となるものです」という祝いのスピーチであった。
できたてのメインレストラン「クリスタル・ダイニングルーム」で開催された祝宴は、ロブスターとアーティーチョークのポテトバスケット詰め、牡蠣のビスクスープ、ローストテンダーロインビーフ・フォアグラ載せ、イチゴのティラミス、プティフールとトリュフチョコレートの盛り合わせ、という豪華メニューである。本格的な就航前なのだが、さすがに食事に定評のあるクリスタルクルーズならではの完成度の高い料理の数々であった。
シアターにおいて、ヨーロッパ各地から来た報道陣達との記者会見の後、いよいよクリスタルセレニティが生まれ故郷から旅立つときが来た。
午後4時、これまでこの船を造りあげてきた大勢の造船所や業界関係者の歓声と、熱いまなざしに見送られ、クリスタルセレニティは命名式典の行われるイギリス・サザンプトン港を目指して、生誕の地を後にしたのであった。
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