アヴァルの崖と波食アーチ、その右に「エトルタの針」
Etretat (エトルタ) <ミニ・メモ> ル・アーヴルから北へ約30kmに位置する漁村・臨海リゾートで、夏は海水浴客で賑わう。 パリ盆地の西縁部をなす白亜の台地が直接に英仏海峡に臨むので、波食作用が強く、高さ80 〜 85mの白亜の崖が作られた。白亜の堆積条件の違いのため、地層に美しい縞模様が現れているのが見られる。 町の中心部が海に面する部分は Terasse du front de Merという堤防上の散歩道になっており、その前にビーチが広がる。この部分は平坦で海面とさほど差はないが、その両側は80mの高い崖が海岸まで迫っている。 エトルタの海岸美はノルマンディー随一と言われ、海に向かって右側にアモン(Amont)の崖、左側にアヴァル(Aval)の崖が広がっている。アモンの崖の上には教会があり、アヴァルの崖の方は海に向かって突出して岬をなし、有名な波食アーチと海面から突起した「エトルタの針」がある。 古くから海水浴場として開け、クールベやモネなどの画家がこの海岸に魅せられ多くの絵を残している。モーパッサンが好んで逗留したこともある。また、牡蛎の養殖でも知られ、生牡蛎はエトルタのレストランの名物となっている。 |
ルーアン発 08:07分のル・アーヴル行きでエトルタをめざす。
経路は以下の通り。
ROUEN BREAUTE-BEUZ FECAMP ETERETAT 列車 08:07 → 08:47 列車 08:52 → 09:12 バス10:15 → 10:49 |
ブレオーテ・ブーズ(BREAUTE-BEUZ)で2両編成のディーゼルに乗換えフェカンへ。
フェカンでは荷物預かり所がなかったが、駅員が「日中だけなら」と預かってくれる。バスの出発時刻までに朝食と町の散策を済ませ、駅前の丘の上のバス停からエトルタへ。
エトルタまでのバスも乗客は2名という寂しさ。町を出るとなだらかな牧草地が海まで続くのんびりとした風景の中を走っていく。急に曲がりくねった下り坂を降り始めた。YPORT
という町に寄るためだが、ここでも誰も乗降しない。運転手は早めにバスを発車させる。
また崖の上のなだらかな景色に戻り、牛が草を食む風景を眺めながらエトルタへ。予定より5分早く、観光案内所前のバス停に着いた。
観光案内所で地図をもらい海岸に出る。凄い風が吹いている。時折押し寄せる荒波が堤防を越えて波しぶきが飛散する。ここから見る両側の80mの崖は、さすがに迫力がある。
アヴァルの崖を登る
日本の場合、行政が責任を問われないように、立て札や立入禁止の柵では足らず、ご丁寧にも「お気をつけ下さい」のアナウンスまで付いてくる。おまけにみやげ物屋やお食事処の看板だらけである。
ヨーロッパを旅していると、観光地に限らず町づくりにおいても「何を自己責任に任せ、何を規制すべきか」という点で教えられることが多い。
とはいうものの、崖の先端はいくつもの突起に別れ、垂直に切り立っているのでなかなかスリルがある。風も強いし、至る所で崩れかかっている。崖の先端に近づくには相当の覚悟が必要である。
アヴァルの崖は有名なアーチと「エトルタの針」を持ち、どう見てもアモンの崖より魅力的なので、観光客はまず先にアヴァルの崖へ登りたくなる。
しかし標高差が80mもあるので、まず最初にアモンの崖に登ることをお薦めしたい。
アヴァルの崖と町の全体が見渡せて絶好のシャッター・チャンスを保証できる。アモンの崖に登ってくたびれれば、アヴァルの崖は登らなくてもそれほど惜しいとは思わない。
登り切れば平坦な緑の広がる台地