マレーシアのエコリゾートに泊まる

掲載日 : 2014年02月10日

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フランジパニ・ランカウイ・リゾート

篠田 香子


リゾートの浄水プール

フランジパニ・ランカウイ・リゾートの浄水プール


注目の21世紀型エコリゾート

 モンスーン明けの瑞々しい樹林に、野鳥の囀りや熱帯の花の色が一段と艶やかに感じられた。まったりと優しいアンダマン海で泳いだ後、ビーチの木陰でホテル自家製のフランジパニ(プリメニア)のお茶を飲む。
ほろ苦い甘みが、心身を寛がせる効能があるという。天からの恵みの水が生み出す、馥郁とした香り。焼きたてのさくりと素朴な風味のココナツ・ビスケットともよくあう。

 フランジパニ・ランカウイ・リゾートが、エコリゾートとして名高いのは、こうした自然の味わいが楽しめることはもちろん、ホテル運営にありとあらゆるエコ対策を取り入れ実践しているからだ。その多くがエンバイロニストでもあるホテルのオーナー、アンソニー・ワン氏が試行錯誤の末に完成させたもの。エコリゾートのケース・スタディとしても注目されている。

 ビーチ沿い100エーカーのリゾート敷地に点在する117軒の客室ロッジには、雨水タンクが設置されている。汚水は水生植物で浄化サイクルする池のシステムを完成したことで、排水ゼロに。リゾートで使用する水の大半が自給自足だ。電力は太陽パネルの導入、通風や採光を優先した建物の改造などで、使用量を抑えている。
また、建材や家具、調度品などもリサイクル活用を徹底。使用した油は石鹸や蝋燭に再生。レストランの残飯の大半は古い浴槽でコンポストにして、自家栽培の菜園で肥料として使われている。

 こうしたエコ対策を、滞在客は身近に体験できる。さらに詳しく学びたければ、ホテルには環境担当が案内してくれる、毎朝10時からリゾート内のエコ対策ツアーに参加できる。浄水システムとなっている裏庭の池も視察させてくれる。
汚水か様々な水生植物で濾過され、魚が泳ぐ浄水になるまでがよく分かる。池の周辺では、鶏やアヒルが群れ遊ぶ。菜園では有機肥料で野菜や果物が元気に育っている。


ウオーター・フット・プリント

温室効果ガス排出量を表すカーボン・フットプリントに続き、ウォ-ター・フットプリントなる環境指標が登場している。これは製品やサービスのライフサイクルにおいて直接・間接に消費・汚染された水の量を示した指数だ。今後予測される世界的な水不足を背景に、専門家らに提唱されるようになった。
 熱帯雨林に恵まれ、豊富な水源を持つマレーシアはアジアで最も高い、米国と並ぶ年間一人頭のウォーター・フットプリント指数となっている。熱帯雨林に恵まれていることが、水の無駄遣いに繋がっているようだ。これに触発されたこともあり、ウォン氏は汚水を水生植物による自然の作用で浄化リサイクルするエコ・システムにチャレンジした。
 機械や薬品を使用しないため、コストも掛からず、かつ環境にも優しいサステイナブルな浄化システムだ。

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