東アジア初のエコツーリズム協会
南北に長い日本列島、その最南部にある八重山諸島に、西表島(イリオモエジマ)という亜熱帯の島がある。今年5月、この島に日本初の「エコツーリズム協会」が発足した。
しかし、世界の各地で、「エコツーリズム」は既に10年以上の歴史を持つ観光の思想であり、エコツーリズム協会を持っている国もいくつかある。オーストラリアのエコツーリズム協会は既に2年の歴史を持ち、国がエコツーリズム戦略を発表するなどのバックアップもあって、活発に活動している。
フィジーも昨年6月に民間によるエコツーリズム協会を設立させた。アメリカにも、エコツーリズム協会という民間の組織があり、会報を発行して情報交流の機能を果たしている。前者2つは全国レベルの組織であり、最後のアメリカの組織は、旅行業者や研究者等が参加する国を問わない国際フォーラム的な組織である。
西表島エコツーリズム協会は、これらのいずれとも形態が違い、メンバーも活動も、島人が主体である。島人達自身が島についてよく知り、島の自然や文化資源を守りながら人に伝えていくすべを学び、島で行われる観光をエコツーリズム型の観光に転換していくことを目的とした、島人主体の組織なのである。財団や会社等の法人格は持っていない任意団体であるが、ともかくも「協会」として活動を開始しようとしている。
地元住民主体の組織で「エコツーリズム協会」と名乗っているものは、私はこれまでのところ、西表以外を知らない。地域のガイド会社や有志によるエコツアー運営組織やエコツーリズム研究会等は国内外を問わず例を見るが、住民も業者も皆が一緒になってエコツーリズムを普及させよう、という組織はないように思う。