エコツーリズム発展の歴史とその対立する要因 NO.2

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◆ オーストラリアの事例

今回は前回に引き続きオーストラリアでのエコツーリズム発展の歴史をご紹介したいと思います。以下はオーストラリア政府観光局のベネロウピー・フィギス前理事による話しです。ほかの多くの人気のあるデスティネーションでも同様の事が起こっています。

Eco-diving前回お話しした中で、オーストラリアでは90年代にあらわれたエコツーリズムや自然志向旅行などが受け入れられてきたのが、おわかり頂けたかと思います。80年代にはエコツーリズムはビジネスとしてもかなりのリスクがあり、またそれ事態にも問題点がありましたが、今では政府はこの旅行が潜在的に成長する分野であるとして歓迎しています。シドニーやエアーズ・ロック、グレート・バリア・リーフなどのような観光資源を持たない州でも自然の景観を資源として観光を伸ばす事ができると見ています。

旅行業界の反応としては、今までそれぞれが取り組んできた分野により異なっています。例えば、エコツーリズムを実質的に支えてきた小さな旅行会社などは、この成長しつつある産業をはっきりと歓迎し、ニュー・サウス・ウエールズのアウトドア・オペレーター協会(Outdoor Operators Association)などの団体に加入しています。

野外活動が好きな人々が、情報交換を通して得た知識を元に、新たにこの事業に参入しはじめたことから、加入者の数は短期間で急速に増えました。旅行業界の主流である多くの旅行会社は、これが短期間の流行なのか、それとも確実に発展するものなのかわからないまま、様子を伺っているところです。

ところが、1994年に最大のトレードショーであるオーストラリア観光産業展(Australian Tourism Exchange)において、国際的なバイヤーがエコツーリズム商品に非常な関心を示したことから、今後エコツーリズムへの傾斜は一層強まってゆくものと思われます。

オーストラリアの環境運動としても、この傾向、つまり1980年代に、特に沿岸地域に深刻ま影響を与えた一般観光に取って代わるものとして、このエコツーリズムの発展を警戒しながらも歓迎しています。また、エコツーリズムは国立公園のような保護地域を増やす重要な動機となりうる可能性もあるとみています。ただし、景気後退の波が押し寄せてきていたオーストラリアでは、雇用の送出や開発から地域を保護する利点などの経済的な側面も、エコツーリズムを考える上できわめて重要な事でした。


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