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1.「ベルリンの壁崩壊」へと導いた平和革命

更新日 : 2014年12月15日

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ライプツィヒの月曜デモの様子 画像提供:LTM-Kühne/Leipzig Tourismus und Marketing GmbH



「東独民主化発祥の地」として歴史に刻まれたライプツィヒ

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10月9日の「光の祭典」の様子
画像提供:ドイツ観光局

「今年は、平和革命から25周年だからね。」

ライプツィヒの街中で出会った人たちと立ち話しをしていると、市民たちの口から必ずと言っていいほど発せられた言葉だ。
そう、ライプツィヒは「ベルリンの壁崩壊」へと導いたドイツ現代史の舞台、旧東ドイツ領の都市である。

「本当に凄いことをやってのけましたね。ライプツィヒ市民のその勇気ある行動に、私は心からの敬意を払います。」そう言葉を返すと、「ありがとう。」と言いながら、少しはにかんだ笑みを浮かべた青年。でも、どこか誇らしげだった。そして、「その、なんて言ったらいいのかな。ライプツィヒの人たちは、情熱的な人が多いんだ。」と続けた。

ライプツィヒで民主化を求めるデモが始まったのは、1989年9月4日のこと。バッハゆかりの教会として有名なライプツィヒのニコライ教会で、月曜の夕刻に行われていた「平和の祈り」の後、およそ千人の市民運動家と出国希望者が「開かれた国と自由な人間」を求めてデモを行った。これが「月曜デモ」の原点である。そこに居合わせた多くの西側のジャーナリストが、その様子を伝えたことから公となった。

その1週間後のデモでは、人民警察が89名を拘束。そのうち19名が禁固刑に処せられた。これが引き金となり、さらに多くの場所でデモが行われるようになった。その叫びは「国外に出たい!」というものであったが、ライプツィヒでは「我々はここに留まる!」という声もあったという。
1989年10月9日にはデモ参加者の数は7万人に膨れ上がり、広場や通りをデモ隊で埋め尽くされた。これによって東ドイツ平和革命の口火が切られ、瞬く間に東ドイツ全土に拡大。そのわずか1ヶ月後に「ベルリンの壁が崩壊」し、1年後には「東西ドイツが再統一」された。

この平和革命から20周年となった2009年から毎年10月9日、ライプツィヒではこの平和デモを記念したイベント「光の祭典」を開催。アウグストゥス広場を中心とする特設ステージでは、東ヨーロッパの首脳や革命ゆかりの人物を招いてのスピーチ、激動の現代史を光と身体で表現するダンスパフォーマンスなどが行われている。この日、周囲の建物には革命の年「89」を象った文字が点灯し、その歴史的な出来事を偲んでいる。


「ルンデンエッケ」で現代史の知られざる一面に触れる

ルンデンエッケ

国家保安省ライプツィヒ支部があった建物
通称「ルンデンエッケ」

ライプツィヒの中心部、ディットリッヒリング通りに、ドイツ語で「円い角」を意味する「ルンデンエッケ」と呼ばれる建物がある。ここはかつて、ドイツ民主共和国(東ドイツ)の国家保安省(以下、シュタージ)のライプツィヒ支部が置かれていた建物で、現在は「旧国家保安省記念館」となっている。

シュタージとは、旧東ドイツ国民を監視することなどを目的に国内外に展開された秘密警察・諜報機関のこと。
この記念館には、実際に使用されていた郵便物監視や電話盗聴器具、スパイ育成に関するものなどが展示され、シュタージの歴史や構造、その役割などを紹介。社会主義時代の現実に触れることができる、貴重な場所となっている。
ライプツィヒには、この「旧国家保安省記念館」以外にももう一つ、郊外のマッハーンにスパイ機関の特別な任務を伝える施設「旧国家保安省壕」(毎月最後の土日の午後のみ公開)がある。

ライプツィヒが「東独民主化発祥の地」ということもあるが、歴史教育(特に近代史)が重視されているドイツを象徴するかのように、平日の朝にも関わらず大勢の人がこの場所を訪れ、熱心に展示品を見る姿が印象的であった。中には、館内で流されている資料映像を食い入るように見る子どもたちもいた。

ライプツィヒでは、毎週土曜日の午後2時から、「東ドイツ平和革命を追って」という徒歩ツアーも有料(2014年現在、4ユーロ)で行われている。このツアーでは、市内中心部に点在する平和革命ゆかりの場所を巡るので、機会があったら参加されてみてはいかがだろうか。


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