Class System ~階級制度

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1995年4月にロンドン北部で行なわれたVE Dayの式典


上流階級の日本人嫌い

外国人は中流階級に位置付けされていると聞いたことがある。しかしこれは先進国の外国人ということだろう。まだ日本がこれほど経済成長を遂げていない時代には,中流の外国人グループには入れなかっただろう。アジアのマイノリティーであるといったコンプレックスなどとは無関係に,現在では観光客も,住んでいる人も,大手を振ってロンドンを歩いている日本人だが,経済大国といわれる以前にここに住んだ人は差別的な扱いを受けた事実もあったという。

私がただの呑気な日本人からイギリスにおけるマイノリティーであるという事実を初めて真剣に意識したのは,終戦記念日のことである。ヨーロッパ全土の終戦記念日の「VE Day,Victory of Europe」に対し,イギリスでの終戦記念日は「VJ Day,Victory over Japan」といっていた。日本軍はビルマにおいてイギリス人を捕虜とし,残虐な行為を行なった事実を私はイギリスで初めて知った。その日が近づくにつれ,テレビでは連日日本軍がいかに戦争中ひどい行為をしてきたか,といった番組が流れ,新聞では『Times』の日曜版の読み物ページの一面に(イギリスでは新聞は内容ごとに紙面が分かれ,特に日曜版は記事がつまったぶ厚い読み物ページがある)英国元捕虜が日本軍に受けた仕打ちを描いた絵が一面を飾っているのには驚いた。というかショックを受けた。イギリス人の日本人に対する本音を見たような気がしたからだ。この時期は何となく外を歩くのもちょっと怖かった。

同時にこのころ,日本人の間でも日本の戦後処理についての議論が賑わった。邦人向けの新聞では日本はすでに政府レベルでの謝罪がされているので処理は済んでいると主張するもの。また,生存した元捕虜の英国兵のインタビューを掲載し,その事実を知るよう日本人に促したものなどいろいろ立場が分かれていた。中にはイギリスの新聞にこのちょっとした騒動について,投書した日本人の話がある。戦争を知らない若い世代からの投書で,この事実は初めて知ったこと,などが素直な気持ちで綴られたものだったが,なんと文脈を書き換えられて載せられたというのだ。イギリスが日本人に対して敵対心を煽るような内容になっていた。イギリスのクオリティーペーパーが平然と投書の内容を書き換えるなんて!ただただ残念でならなかった。

シティで働く日本人駐在員のことをバーバリー軍隊の歩兵(小さい体で皆揃って制服のようにバーバーリーを着ていることを皮肉っている)だの,普段もしばしば日本を揶揄する内容の『Times』などの新聞のコラムで見つけることができる。クオリティーペーパーほど反日的なのである。そしてこれらを読むのは上流,中流階級の人たちである。


福祉依存階級

上流,中流,労働者階級の他に,アンダークラスといわれる階級がある。これは福祉に依存する万年失業者,ホームレス,未婚の母などを指し,犯罪に結び付く可能性が高いといわれる層でもある。そしてそれらの数は製造業従事者より多い300万人といわれる。

イギリスには若者のホームレスが多い
イギリスの税金は高いため,不況になると特に税金への負担が重く感じられる。そのため,税金からこれらの人々に支払われることに対し批判が出る。特に批判的だったのがシングルマザーへ支払われる税金からの補助金。たまたま見た討論番組では「勝手に生んのだから自分で責任を取れ」という批判が出ていた。働く能力がないわけでない彼女たちに税金から補助する必要はないというのだ。シングルマザーの大半は10代で子供を生んでしまい,大学にも行っていないためきちんとした仕事に就けず,父親の援助もないまま,政府の補助金で暮らしているといったパターンが多い。彼女たちは「補助金がもらえるから生活できるはず」と考え,子供を生む決意をするらしい。実際,他の福祉依存者の中でも,一番先に槍玉に上がり,補助を減らされた。

私の友人はイギリス人の男と結婚したが,彼は30代後半にもかかわらず失業保険で親とともに暮らしていた。当然親には頭が上がらないマザコン亭主。結婚したにもかかわらず彼女はまるでホームステイでもしているような調子で,しかも学費と生活費を日本の親から出してもらっていた。趣味が同じ友達でいる分には良かったがこんな夫婦生活は続かず,結局離婚した。

もちろん,上の話は特異な例だが,他にも万年失業のイギリス人男性を自分で働いて養う奇特な日本人女性の話しは良く聞く。労働意欲を無くし,社会制度や他人に甘えて生活する男性が存在するのだ。

福祉が発達すれば,必ずそれに依存する人々が出てくる。若者のホームレス,シングルマザーの多さはイギリスの社会が生み出した新しいクラスといえる。

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