パラオ紀行
ミクロネシアに浮かぶ200以上の島々からなるパラオ共和国。日本航空のチャーター便で20年ぶりのパラオ訪問をした。以前は、グァムで乗り継ぐか1泊して翌日の便でのパラオに入るのが通常であった。20時40分、成田空港を飛び立つと機長のアナウンスがあり、パラオまでは4時間25分のフライトだとのこと。20数年前のこと、初めてパラオで夜間着陸が行われたときには、村の人がタイマツを掲げて滑走路に並ぶのではないかと思っていた。操縦席に座らせてもらっていた私は、パイロットのボタン操作で滑走路に照明が点いたのには驚かされた。
映画を見終わらないうちに本島・バベルダオブの国際空港に着陸した。橋で結ばれた経済の中心地コロール島を経て、マラカル島に建てられた豪華リゾート、パラオ・ロイヤル・リゾートに入ったのは夜中の1時半であった。かつては町には明かりがあまりなく、通りはやたらと暗いイメージがあったが別の国に来たような気がした。チェックインすると6階の部屋に案内された。衛星放送が映る薄型テレビも付いていてNHK、台湾、CNN、スターTVなどの放送番組が受信できる。
[クラゲの海へ]
私がパラオを初訪問したのは27年前であるが、海の美しさに魅了されたことに加え、親しくしていた人が初代大統領になったこともあり、7年の間に20回ほどパラオに通うことになった。久し振りに見る海の生物は昔と変わらず元気な姿を見せてくれるだろうか。
翌日、朝食後にホテルの桟橋前にあるツアーデスク(ベラウ・ツアーとロック・アイランド・ツアー・カンパニーが提携している)で海の観光の相談をした。ジェリーフィッシュ・レイクのツアーがあるというので参加した。
ボートは小島の間を縫うようにして進み、30分あまりで無人島に接岸した。尾根を越える10分程度のジャングル歩きで、湖に着いた。かつては、かなり険しい登り降りを強いられたが、いまでは手すりもついて安全が確保されている。
水中メガネを着けて泳いでいくと、ピンポン球から子供の頭程度の大きさの半透明の物体が現れた。ジェリーフィッシュ、つまりクラゲである。やがて、宇宙の星のように数え切れない大集団の中に入っていった。ここのクラゲは毒がないので何万もいても怖くない。宇宙遊泳をしているような不思議な感覚に興奮をしてしまう。