「41歳寿命説」の縄文人・西丸震哉

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食生態学研究所所長
日本旅行作家協会常任理事

西丸 震哉 氏


「インターネット」電脳テレパシーはあるか?

昭和34年生まれの日本人の平均寿命は41歳--衝撃の警世の書として一世を風靡した「41歳寿命説」から満6年が過ぎた。

 「元々のネタ本はそれよりずっと前だから、すでに平均寿命は37歳位になっているかも知れないね」
 環境の汚染や飽食と美食が一斉にはじまった昭和34年の高度経済成長時代のスタートをもって、日本はそれまでの長寿村から短命村へと歴史的な転換を遂げた、とする西丸流・食の生態学は、各種の統計や実証的研究から生まれた「人間の生き方」に対する警告の書でもある。

 「早く手を打たないとガス室の濃度は益々取り返しがつかなくなる。民主主義は時間が掛かるからダメ。ヒットラーみたいな全体主義は望むべくもないから、ここは一国の長に頼まなければと、時の田中角栄首相に訴えたがならなかった。彼はみすみす『歴史的な名宰相』になる機会を失したね」。

 文明という名の野蛮、母親と先生に捧げる--ターザンを育てよ、芸術・薬・テレビの3馬鹿天国、さらば文明人、そしてイバルナ人間、と筆法鋭く次々と放たれる毒舌ぶりはユーモアに溢れ人間愛に満ちた「西丸流文明批評」の数々。照らわず飾らず自然流の生き方を勧める異才ぶりに、年代を問わずファンが多い。自らテレパシーによって行動する縄文人を自認する。

 「野山を歩いていて前方の岩が落ちそうだとテレパシーが知らせる。地図をじーと凝視しているとどこに部落があってどんな地形があるか見えてくる。ヒグマだってこちらが友達です、そこを通り抜けたいので宜しくと挨拶すれば、知らん顔して通してくれる。それを怖がったり武器を持ったりするから、争いのもとになる。オオカミだって視線を合わせ耳の後ろを撫でてやるとゴロっと腹を見せてくる」幽霊との対話も得意中の得意。どこまで本当でどこまで嘘なのかと、聞く方は一瞬戸惑いを隠せないが、全てが自然界を駆けめぐり歩き回って実証的研究の成果だから、反論はない。

 というより、常に意表をつく体験話に座が沸き、呆れたり納得したりして時の経つのを忘れさせてしまう。日本旅行作家協会会長で長い間の友人でもある精神科医の斉藤茂太氏は、奇人・西丸震哉と紹介することを常とする。
 「文明社会に毒されて最近はテレパシーが少し鈍くなった」。

 その真頂骨は単身、食人種との触れ合いを求め丸腰で過ごした「ニューギニア最奥地」行に溢れている。文明世界から隔絶した世界に住む食人種達との交歓は、自然人・西丸震哉の痛烈な現代文明批判でもある。
 「未開や未知の地に乗り込む時は、一人がいい。危険だから辞めなさいと他人は言うが、複数で行けば自分たちだけに分かる言葉で何かをたくらんでいるに違いないと、相手に警戒されるだけ。その点、一人でしかも丸腰なら十中八九、不安感を与えない」。西丸流「旅の極意」だ。

 インド奥地や南極、奥アマゾン、カムチャッカ、アラスカなど世界の名だたる秘境や未開の地を求め旅を重ねてきたが、今でも日本旅行作家協会「探検旅行研究会」の世話人として、未知への挑戦を続けるヤング・セブンティーズである。
 「旅に出ようと思い立ったらそのまま出かければいい。旅のスケジュールはあってないようなもの。それが旅の楽しさなのだから、日程通りでないと腹を立てることはない。

ただ、最近はぶらりと一人で行っても怪しまれて泊めてくれなくなった。それがあらかじめ電話を一本入れておくと、お待ちしてましたなどと歓待される。予めインターネットで調べるなり情報は確実に掴んでから出向いた方が思った旅が出来るようになった。特に天気予報は大事だね。雨だからといってじっとしているのではなく、ベース基地をつくって雨の日にしか楽しめないところを選べば時間は無駄なく使える。情報探しも頭の切り替え時かな」余計な拘りがないから縄文人は素直で合理的である。

 インターネットの向こうにある情報を凝視しながら、テレパシーで何かを掴む日が近いのかも知れない。

 「食生態学研究所所長」として「食」と「人間」との関係に係わる研究・評論を続けるほか、科学、医学、生理学、動物、天文、政治、社会などあらゆるジャンルに通暁、加えて作詞作曲から絵画まで手がけるマルチ人間でもある。
 島崎藤村は大伯父さんにあたる。

(構成:高梨 洋一郎)


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