「旅の東急ハンズ」目指しフランチャイズチェーン展開

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瀧本 泰行会員制旅行会社「エアーリンク」会長
瀧本 泰行 さん

デフレ経済下でも旅行は別。若者から熟年、シルバー層へと海外旅行の裾野が広がるにつれ誰でも気軽に海外への旅を楽しむ時代になったが、これと裏腹に旅行業は競争の激化で軒並み収益減に苦しむ。そんな中でも、年率30%から50%増もの高度成長を続けている異色の旅行会社である。

殺到する電話に対応がなかなか追いつかず会員への思いきったサービス改善を図るためこれまで試験的に進めてきたフランチャイズチェーンの全国展開に踏み切ることになった。

「弊社は日本全国を対象にした旅の通信販売業者。電話1本であらゆるニーズにお答えできるようになっているので支障はないが、長距離電話を使って申し込んでくる方のことやいざという時の利便性を考えると、やはりできるだけお客様のところに近づいた方がいい」その実験店として神奈川県茅ヶ崎にオープンした湘南店が大成功、このほど横浜と渋谷に追加オープンしたのを機に、本格的な全国展開に乗り出すことになった。来春までに40店のフランチャイズチェーンにするのが目標だ。

格安航空券の代表的な旅行会社として最近とみにとりあげられる機会が多くなったが、大手から中小まで旅行情報誌にひしめくエアオン業者の中でも、エアーリンクがひときわ異彩を放つ理由は大きくみてふたつある。

その第一のポイントは会員制による旅行会社という性格だ。

瀧本 泰行 「20年前、私たちが発行したガイドブックに読者カードを寄せてくれた23人を対象にスタートしたのが弊社のはじまり。以後、一貫して会員のための旅行会社づくりに取り組んできた結果が、現在、10万人のアクティブ会員を有する日本最大の旅行クラブに成長しました。

個人なら年会費2,000円、グループなら5,000円をいただいているので、他の格安券業者と比べて一見高いように見えますが、どこにも負けない料金を提供するようにしているので、決して損はない。それに会員になれば年6回以上、最新の航空券価格を含む旅行情報誌をお送りしているし、会員の7割が利用している『バーゲンFAX会員』に登録すれば、ハワイ6日間49,800円、パリ6日間69,800円といった超目玉商品を自動的にFAXするという、会員制なるが故のユニークなサービスが人気の元となっています」このところ月間4,000人のペースで会員が増え続けているというから、この分で行けば会員は1年間で一挙に1.5倍にもなってしまう。驚くべき高度成長振りである。

第二は、創業以来一貫して保ち続けてきている「ユーザーである消費者の側にたった公正な航空運賃の実現」という基本的な視点である。
石油危機の時、燃油費の高騰を理由に国際航空運賃が値上げされたがその後、石油が暴落したのにもかかわらず値下げはされず仕舞いだった。そして昨年末に航空会社から再び運賃値上げが運輸大臣に申請されるに及んで、瀧本さんの怒りは心頭に達した。

「余りにも消費者無視のご都合主義。その場その場で繕って公正で明朗な運賃決定方法の新しいルールを創ろうとしない。こんな不公正なことが堂々と行われているにもかかわらず、残念ながら日本のマスコミは一行もとりあげてくれなかった。臭い物には蓋です」ことはどうであれこういった不屈の精神が、会員の共感を呼び、会員が新たな会員を紹介し、数多くのリピーターを育てあげてきたということに繋がってもいるようだ。

輸入航空券の使用をめぐって急遽成田に駆けつけ直談判の末、無事お客様を飛び立たせるなど、危機に及んでのエピソードにはこと欠かない。

海外旅行 マル得ゼミナール 「安いものを格安に売るのでは余り意味がない。うちは良いもの高いものを安く売るのがモットー。目下、国際航空券のビジネスクラスを安く売ることに挑戦し続けていますがこの間もゴールデンウィークの期間、東京ヒルトンホテルの宿泊券33,000円を13,000円で売ったら爆発的に売れた。普段めったに泊まれないスイートを1泊4万円で提供してやれば12万円で4日間の豪華なホテル住まいを体験できる。言っていれば、そんな価値あるバーゲン旅行を提供して行きたいと思っています」

利用者の大半が若いバックパッカーと言われている格安航空券の世界で、同社の場合、会員の過半数は40歳~50歳台といういわば中年以上が主力となっているのも異色だ。
「たとえ2,000円でも会費を払ってくれる人は、一過性のお客様ではない。それなりに会員となることの価値を分かってくれる人です。コストを徹底的に切り詰め、お客様が『旅の東急ハンズ』として良品を自由に組み立てて思い出に残る旅をしてくれることが私たちの願いです。」

この春から世界でも初めてというFAXによる24時間国際線スケジュール自動検索サービスもスタートした。
夫唱婦随。奥さんの文江さんが社長として社内業務と情報システムを担当する。両人の共同編著による「海外旅行マル得ゼミナール」の新年度版もこのほど完成、フランチャイズへの本格始動に向けて周辺が一気に泡立ちはじめてきた。

(構成:高梨 洋一郎)


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