カリフォルニアの新しい風を楽しむ

カリフォルニアの新しい風を楽しむ
州都サクラメントから高原リゾート・レイクタホへ
写真＝歴史地区として整備されたサクラメント旧市街（Tom Myers氏撮影）＜その２＞　州都サクラメントで往時の面影を楽しむ
■ シュワ知事の執務室も観光スポットに　カリフォルニアの観光をたっぷり楽しむならやはりドライブ旅行がお勧めだ。カリフォルニア観光委員会など観光関連団体が共同で監修している「カリフォルニア・ドライビング・ツアーズ」には、代表的な27のコースが紹介されている。特別なプランがないならさしあたりのコースを利用するのが便利だ。いずれも数百マイルを数日かけてゆっくりドライブするコースで、それぞれのテーマでカリフォルニア北部から中部、南部の代表的な見所やアクティビティを紹介している。今回はそのひとつ「Back in Time｣(時を遡って）を紹介しよう。　このコースは、州都サクラメントから国道50号線を東に辿り山岳湖畔リゾート・レイクタホに抜け、帰路北側の80号線をサクラメントに戻ってくるルートである。いわばゴールドラッシュの主舞台となったところで、西部開拓史の一コマを楽しみながら、果樹園を覗き、レイクタホならではのダイナミックなアクティビティを体験できる、変化にとんだドライビング・コースである。　起点のサクラメント（Sacramnento）は、サンフランシスコの東北東約100マイル、カリフォルニアの水郷地帯に位置する古都だ。古都といっても米国の場合、たかだか200数十年の歴史だから多くの外国人観光客にとっては、文化歴史探訪というより西部開拓時代のテーマパークに遊ぶといった感じだろう。歴史を訪ねるといっても構えず気軽なのがいい。見所は碁盤の目のように長方形に細かく区切られた旧市街にコンパクトにまとまっているから、終日あればそのハイライトは十分見学できる。　市内を流れるサクラメント川は、水路交通が主力だった開拓時代の中心である。蒸気船が人や物を乗せ遠くサンフランシスコなどとの間を頻繁に往復していた。
その面影を今に留めているのが1935年に建造されたタワーブリッジであり外輪船だ。その大きさで一世を風靡したのがデルタ・キングとデルタ・クイーンの姉妹外輪船。このうちデルタ・クイーンはいまなおミッシシッピー川で活躍、デルタ・キングの方はレストラン兼ホテルとしてサクラメント川にそのまま係留され、観光の目玉となっている。　このサクラメント川に沿って28エーカーの歴史風致地区が開発・整備されている。歴史地区は、観光客誘致のために往時の建造物を修復・復元して徒歩での散策を楽しめるようにしたもので、大陸横断鉄道の駅舎跡をはじめ、銀行や劇場等の建造物、各種レストラン、博物館、土産物店などが賑やかに軒を連ね、観光客を楽しませている。	写真＝レストラン兼ホテルとして人気を博す外輪船デルタ・キング（DELTA KING 提供）
サクラメントで必見の見所といえば、まず北米一を誇るカリフォルニア州立鉄道博物館だろう。広い館内には、初期の機関車群から趣向を凝らした客車までずらりと並び、鉄道ファンのみならず一般観光客にとっても、鉄道の世界を楽しく見せてくれている。この鉄道博物館を借り切っての報奨パーティや各種イベントの会場としても使えるというから、この辺がアメリカ的でいい。
写真＝鉄道ファン垂涎の的となっているカリフォルニア鉄道博物館（Don Normark氏撮影）	また、このサクラメントは世界的な映画俳優であるシュワルツネッガーがカリフォルニア州知事となって一段と脚光を浴びることになった。シュワちゃんの愛称で人気のある同知事は、わざわざ日本にまで出かけてＰＲに努めている。観光はカリフォルニアにとっていまや最重要産業のひとつの柱。シュア知事は、観光の売り込みに先頭にたって奔走しているが、その知事のお膝元がサクラメントだ。議会が開会中でなければ誰でも州議事堂内を見学出来るばかりでなく、知事室まで一般観光客に開放、積極的に観光大使役をかっている。石原知事が先頭に立って観光都市・東京のＰＲをしているようなものだ。
単なる人気取りのパフォーマンスにすぎないと冷ややかな目で見る見学者も少なくないが、しかし必要ならトップ自らが観光客誘致のためにあらゆる手段を活用しようという試みは、買いだ。知事室の前ではシュワルツネッガーのネームプレートを前にポーズをつくる観光客で終日絶えることがないというから、いまやサクラメント観光の目玉になっているということであろう。

取材協力：カリフォルニア州観光局
Sacramento Convention & Visitor Bureau
最終更新日：2006年5月22日