老舗ホテル「リングホテル・ツム・ローテン・バーレン」
フライブルグの老舗ホテル「リングホテル・ツム・ローテン・バーレン」
ライン川を越え フライブルグへ

レストランの入口にある熊のモザイク 「ビールとソーセージだけは美味い」と言われるドイツだが、ドイツ産の赤ワインと上品で美味しい肉料理が味わえる店がある。その店があるのは、スイスのバーゼルから車で約1時間半の場所にあるドイツの都市、フライブルグだ。

 フライブルグの人口は約16万人、うち10%が学生という学術都市。歩道には整然と石畳が並び、市内には清流を湛えた用水路が張り巡らされている。環境に配慮して整備されたこの街は、エコシティとして世界からも注目を浴びている。

 目指すレストランがあるのは、市内中心部のオバーリンデン通りにある「リングホテル・ツム・ローテン・バーレン・フライブルグ」という老舗ホテルの中にある。
街の歩道は、石畳とタイルで飾られている。通り沿いに構えた店舗の入口には、モザイクでシンボルが描かれている。スポーツ店ならサッカーボール、靴屋なら靴の柄、といった具合だ。もちろん、名称に「赤熊」を冠したこのホテルの入口にも、この建物が完成した年を表す「1120」という文字と一緒に「熊」のモザイクが描かれている(写真右上)。

 さて、ホテルのどっしりとした扉を開け、左横にあるレストランに足を踏み入れると、どっしりとした重厚感のある木製の調度が目に飛び込んできた。これといって凝った彫刻が施されているわけではないが、そこから放たれる黒い光沢がその歴史を感じさせる(写真左下)。
この日、メインディッシュに選んだのは「牛肉の煮込み」(写真下中央)。レストランの自慢の一品だ。

歴史を感じさせる店内 自慢料理の「牛肉の煮込み」 世界のワインが貯蔵されている古いワインセラー

 牛肉は柔らかく、味付けも上品。パンチの効いた旨みが印象的だが、ドイツ料理にありがちな尖った“塩気”は感じられない。また、ヨーロッパではその料理のボリュームに驚かされることが多いが、日本人には有難い程よい分量の一皿だった。

フライブルグの大聖堂

 レストランの地下には古いワインセラーがあり、地元バーデン地方をはじめ世界のワインがストックされている(写真上)。
ドイツ・ワインというと白ワインが主流だが、この地方では赤ワインとロゼ・ワインが生産量の4分の1を占めている。その一つが、赤ワインの「シュペートブルグンダー・ロートヴァイン(Spatburgunder Rotwein)」だ。

この「シュペートブルグンダー」というのは、フランスのブルゴーニュ地方の高級葡萄品種「ピノ・ノワール」と同じ品種のワイン。寒さの影響などもあり、同品種といえどもフランスに比べ少し薄めだが、濃厚なルビーカラーのどっしりしたフルボディ・ワインで、力強い料理によく合う。

 食事を堪能し、ほろ酔い気分で帰途に着く。
街を見渡すと、大聖堂の塔(写真左)がライトアップされて聳え、美しい。赤い砂岩の塔が、スイスとの国境を挟んでいても、バーゼルとは地質的に、そして文化的にも繋がっていることが感じられる。

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