◆ 歴史とモダンを巡るコース
中央広場→フランツィスカーナ地区→フランツィスカーナ教会&修道院→クンストハウス→
マリアヒフファー広場→ムーア川遊歩道→ムーアインゼル→アッテム宮殿→
シュロスベルク広場→シュロスベルク→市立博物館→ノイエ・ギャラリー
中央広場とムーア川の間に広がっているのが「フランツィスカーナ地区」だ。この地区で数百年の伝統を持つ肉屋が営業を続けていることから「子牛肉区」とも呼ばれている。
このエリアには南欧の雰囲気が漂うレストランが多数あり、それらの店ではイタリア料理やシュタイヤマルクの料理が堪能できる。午前中に旧市街のコースを終えたら中央広場まで戻り、この辺りでランチブレイクをするのもお勧めだ。
この広場には1239年に建てられたグラーツで最も古いフランシスコ派の修道院がある。この修道院教会の塔は、グラーツのシンボルにもなっている。教区教会マリア・ヒンメルファートというゴシック様式のホール式教会とも連結している。
修道院の中には、ヤコブ礼拝堂へと続く静寂に包まれたゴシック様式の回廊がある。この修道院の回廊へは、フランツィスカーナ広場の脇道に入口があるのだが、うっかりすると見落としてしまう程わかりずらい。
そこで修道院の回廊と中庭を見学したいとう人は、ムーア川に面した広場から教会へ入ることをお勧めする。回廊へ続く扉は、祭壇右側にある。開けるのを躊躇してしまいそうな扉だが、ミサなどの儀式が行われていなければ注意されることはない。
さて、修道院の回廊の見学を終えたら、ムーア川の横にある遊歩道へ行ってみよう。
プロムナードへはフランツィスカーナ広場から数歩の中央橋から下り階段が伸びている。このプロムナードは、グラーツ市民の憩いの場として親しまれている。
ムーア川の対岸にある奇妙な建物が「クンストハウス」だ。2003年に欧州文化首都になったことを記念して建設された芸術文化施設で、“大きなナマコ”や“エイリアン”の愛称で親しまれている。
設計を手がけたのは、建築家のピーター・クックとコリン・フルニエの二人。館内では随時、特別展が開催されている他、レストランも営業している。このクンストハウスは、ヨアネウム州立博物館のグループに属しているため、ヨアネウムの1日券、または2日券で入場ができる。
クンストハウスを出たらムーア川沿いに左へ進んでいくと、一つ先の橋の袂にあるマリアヒフファー広場にでる。
この広場にあるのがマリアヒフファー教会。托鉢修道院に属する教会で、教会内にはミノリーテン芸術センターも設けられている。建物は17世紀初頭に建てられたもので、1742年に二本の尖塔を持つファッサードが加えられた。
マリアヒフファー広場の少し先のムーア川に浮かぶのが、ニューヨークの芸術家ヴィト・アコンチ設計の「ムーアインゼル」だ。これも2003年の欧州文化都市を機に建設されたもので、“川面に浮かぶ貝”をイメージして造られた。
中には喫茶店と半円形劇場があり、二つの桟橋で川の両岸につながっている。きわだつ芸術オブジェとして、グラーツの新たなシンボルとなっている。
(写真右上:フランツィスカーナ修道院回廊/写真左上:フランツィスカーナ修道院教会)
(写真:左からフランツィスカーナ修道院の中庭/クンストハウス/夕闇に浮かぶグラーツの旧市街)
マリアヒフファー広場の対岸にあるのが「アッテム宮殿」。1702年からザックシュトラーセの象徴となってきた建物だ。宮殿の所有者だった一族が、1962年まで建物を改築を行わなかったため、化粧漆喰や壁装飾などオリジナルのバロック様式が維持されている。宮殿の前のザックシュトラーセには、ユニークな芸術品や骨董品屋が軒を連ねていることから「芸術品通り」と呼ばれている。
アッテム宮殿の斜向かいにあるのが「シュロスベルク広場」。シュロスベルクの横穴に入る手前の右側には、13世紀に建てられたグラーツ最古の建物ライナーホーフがある。
シュロスベルクへ上るにはいくつかの方法があるが、その中の一つが広場から見える階段だ。これは第一次世界大戦の捕虜たちが岩を掘って作り上げたのだという。当初は260段あった。
この階段を上る自信がないという人は、ザックシュトラーセ沿いにあるケーブルカー、もしくは洞窟に入った先のエレベーターでも上がることができる。
このエレベーター乗り場の手前には、洞窟をトロッコ列車で駆け抜けるアトラクションがある。どちらかというと子供向けの乗り物なのだが、案外喜んで乗っている外国人観光客も多い。さて、中で一体何が起こるのか...。興味のある方はお試しあれ。
さて、時間があればシュロスベルクへ上がってみよう。
このシュロスベルクは公園になっていて、鐘楼、ガゼマッテン舞台、ゴシック様式の門、ハッカーのライオン、砲台と守備隊博物館、シュタルバスタイ、中国風パビリオン、トルコ人の井戸、シュタルケの家がある。
ムーア川のプロムナードからケーブルカーで登ったところには、グラーツのもう一つのシンボル時計塔がある。13世紀に建てられた高さ28メートルの塔の時計の文字盤は直径5.4メートルあり、金箔がかけられた針の長針と短針が逆に取り付けられている。この時計は、1712年から時を刻み続けている。
シュロスベルクから下りてまだ時間に余裕があれば、近くの博物館を訪れてみよう。
その一つが、キューエンブルク家のバロック様式の宮殿を利用した「市立博物館」だ。この宮殿は、1863年にオーストリア皇位継承者であるフランツ・フェルディナントが誕生した歴史的にも重要な建物となっている。
また、市立博物館の横には「ノイエ・ギャラリー」がある。ここには、1811年に設立されたヨアネウム州立博物館が所有していた19世紀と20世紀の作品が展示されている。ここから中央広場へは、数分で戻れることができる。
(写真左上:シュロスベルク広場/写真右上:トルコ人の井戸)
(写真:左からシュロスベルクのケーブルカー/ハッカーのライオン/時計塔)
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