ドナウの真珠、ブダペスト 2
写真：世界一美しいと呼ばれるハンガリー国会議事堂
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◆ 千年王国の歴史漂うペストを歩く
王宮地区の散策が終わったらスタート地点に戻り、今度はペスト側を歩いてみよう。
まず、最初に紹介するのが「国会議事堂」だ。このネオゴシック様式の建造物の設計を手がけたのは、ハンガリーを代表する建築家イムレ・シュタインドル氏。ハンガリー建国1000周年を記念し、1885年から9年の歳月をかけて建造された。長さ268メートル、奥行き118メートル、高さ96メートルのドームを載せたハンガリー最大の建造物で、世界一美しい国会議事堂とも言われている。
 階段や回廊は延べ20キロ、部屋の数は691を数えるこの議事堂内には、現存する王冠の中で唯一、聖なる象徴として知られる聖イシュトヴァーンの王冠や宝珠、そして剣や王杓などが保管展示されている。
館内はガイドツアーでのみ見学が可能となっているが、非常に人気が高くすぐ定員に達してしまうため、議事堂内の見学を希望する場合はできるだけ早い時間に窓口へ行き、チケットを購入しておくと良い。
チケットは議事堂正面の「10（X）番」窓口で販売されているが、敷地内に立ち入る場合には警備員に用件を伝え許可をもらう必要がある。複数人いる場合には、1名のみの立ち入りが許される。
また、チケット購入の際には必ずレシートをもらっておくことをお勧めする。窓口には「レシートが必要な者は係員に申し伝える」との案内があるのだが、警備員曰くレシートこそがチケットに相当するのだという。
支払いを済ませると通し番号が入ったカードだけが手渡せるのだが、それは単なる「記念品」なのだそうだ。この辺りの見解は警備員により分かれてそうだが、用心に越したことはないのでレシートをもらっておこう。
この国会議事堂からは少し離れているが、ブダペストにはもう一つ建国1000年を記念して造られたものがある。それが「英雄広場」だ。1896年に造られたブダペスト最大のこの広場には、歴代国王などハンガリーの英雄たちが扇状に並んだ像がある。台座には、マジャル族などの部族長の騎馬像が並んでいる。
（写真右上：聖なる象徴の王冠が納められたショーケース）
（写真：左から国会議事堂内部／議会場／議事堂正面）
市内のほとんどの場所から見える建物が、ブダペスト最大の教会「聖イシュトバーン大聖堂」だ。
主祭壇に祀られているのが、大天使ガブリエルのお告げによりマジャルの人々をキリスト教化したハンガリー王国の初代王、イシュトヴァーン1世。1083年に列聖された聖イシュトバーンの名を冠した、新古典主義様式のこの大聖堂には、聖遺物として王の右手のミイラが保管されている。
 この右手のミイラはイシュトバーン1世の遺体から失われていたもので、トランシルヴァニアで発見された後に各地を転々とし、1771年マリア・テレジアによってブダに戻されたものである。
右手のミイラは、祭壇左手奥にあるチャペルの中に保管され公開されている。手前の箱に100フォリントのコインを2枚入れると照明が当てられる。ライトが当てられたら、ケースに向かって右側面へ移動してみよう。こちら側からは、指をしっかりと見ることができる。
大聖堂の正面には、2つの大きな鐘楼がある。南の鐘楼にあるのがハンガリー最大の鐘で、重量は9トンもある。現在の鐘は2代目。初代の鐘もおよそ8トンあったが、第二次世界大戦の際に軍用で使用するため溶かされてしまったのだという。
また、堂内にあるシュトローブル・アラヨシュ作の像や、聖イシュトバーンが聖母マリアにハンガリーを捧げる場面が描かれた、ベンツール・ジュラ作の絵画などもチェックしておこう。
もう一つ、ブダペストで見逃せない建造物といえば、アンドラーシュ通りにある「ハンガリー国立歌劇場」だろう。
 この国立歌劇場が建てられたのは1858年のこと。世界一壮麗と言われる、イブルミクローシュ設計のオペラハウスだ。グスタフ・マーラーが常任指揮者を務めた事でも知られている。ウィーンにある歌劇場よりもやや小ぶりだが、その豪華絢爛な美しい内装には目を見張るものがある。
オーストリア・ハンガリー帝国時代には、皇帝フランツ･ヨーゼフとエリザベート皇妃もこの歌劇場を訪れた。その際、皇帝夫妻が使用した階段は、「国王の階段」と呼ばれている。だが、皇帝が自ら訪れのはわずかに1回。オペラがあまり好きでなかったからだそうだ。
一方、皇妃のエリザベートはこの歌劇場によく足を運んだが、皇帝不在ではロイヤルボックスに座ることが出来ず、舞台に向かって左側のプロツェーンテウムロージェに座っていたのだという。そのため、このバルコニーは皇妃の愛称であるシシィの名をとって「シシィ・ロージェ」と呼ばれている。
（写真右上：国会議事堂正面／写真左上：ハンガリー国立歌劇場「国王の階段」）
（写真：左から聖イシュトバーン大聖堂内部／ハンガリー国立歌劇場の正面と内部）
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