陶磁器コレクション 展示室 | 悲願の欧州磁器「マイセンと陶磁器コレクション」 | ||
---|---|---|---|
ドレスデン城へ行くと、外壁に掲げられた壁画「君主の行列」(写真左)が目に入る。 1945年の空襲を奇跡的に免れたこの壁画は、1123年から1904年までの歴代ザクセン君主が描かれているものだ。 壁画は磁器「マイセン」のタイルに描かれている。 今や世界的に有名な銘品マイセンは、このドレスデンが欧州で初めて生み出した磁器なのである。 16世紀の大航海時代にもたらされた中国や日本の磁器は、「白い黄金」として欧州各地で珍重され、フランスのルイ14世や15世といった各国の王侯貴族はもちろんのこと、ザクセンのアウグスト強王も収集に勤しんだ。 アジアの白くなめらかで肉薄の磁器は、それまでボッテリとした厚い陶器しか作れなかった欧州人王侯貴族にとって憧れ、そして垂涎の的であり、また財力誇示のシンボルであった。アウグスト強王は、中国の壺1個に対し兵士数十人を交換したという実話も残されている(写真中央左)。 収集と同時に自国での磁器製作研究も行われていたが、そうした中で1708年、ザクセンで初めて磁器らしきものが完成した。 研究者、もとい製作者の名はベットガーという。 1709年には白磁が完成し、マイセンに王立磁器工房が造られたのが1710年のことだった。 以後、このマイセン磁器はザクセンの財源のひとつとなり、緑の丸天井やアルテマイスターの絵画など、膨大な美術品の収集にも一役買うことになる。 | |||
| |||
ツヴィンガー宮殿の一角にある陶磁器コレクション(写真上)には、アウグスト強王とその息子アウグスト3世が収集した陶磁器やマイセンで研究されていた試作品、研究途上品、完成品が収められている。
その数およそ2万点。 規模は世界最大で、2006年に新しくできた東アジアギャラリーには柿右衛門(写真上右)などの有田焼の大皿や壺など、日本の磁器も数多く展示されている。 金の縁取りに赤青緑の文様の有田焼など、物によっては派手に見える日本の磁器も、こうした豪奢なバロック宮殿に陳列されると不思議と収まりがよく、国内で見るときとは違った趣が感じられてなかなか興味深い。 なるほど、欧州人が珍重するわけだと、不思議と納得する。 ドレスデンからSバーンで40分ほど場所にあるマイセンには磁器工房があり、作業工程が見学できるほか、絵付け体験なども行っている。また、磁器製作の「国家機密」を守るため、ベットガーが住まわされたアルブレヒト城(写真右)もある。 ちなみに、マイセンの市庁舎に掲げられた鐘はマイセン磁器でできている。 チーンと鳴る、磁器ならではの音色も楽しんでほしい。 | |||
| |||