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中国の郷土料理を楽しむ

四川料理

 四川省は中国中部の奥地、揚子江の上流に位置していて、パンダの生息地としても有名である。山に囲まれているため、独立した文化が育まれ、料理も独特の特徴をもっている。

 ピリッと辛いのが四川料理とよくいわれるが、辛いだけでなく、南の雲南省やインドの影響を受け、様々な香辛料が使われている。山椒の風味の「麻(マー)」、唐辛子を使った辛い「辣(ラー)」、独特な香りの「香(シャン)」などの味わいがあるのである。

 代表的な料理には豆腐と豚肉の味噌炒めや豚肉の炒めものなどがあるが、最もポピュラーなのは、なんといっても〔麻婆豆腐〕である。これは比較的新しい料理だが、日本人の好みにピッタリ合った四川料理といえよう。

 また、ザーサイ(搾菜)も四川省の特産である。

 香辛料の風味を最大限にきかせた四川料理の中でも、アヒルの燻製の「樟茶鴨」は最高級品といわれている。その調理法は、先ず、胡椒、生姜、シナモン、蜜柑の皮、香草などで風味をつけ、丸一日中国酒に漬けた後、楠の木片と紅茶の葉をくべた炭火で燻製にしたものであるという。

 そのように、凝りに凝った調理がもたらす風味は、決してありきたりなものでないことは容易に想像できる。


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