ゲーテの生まれ故郷、フランクフルト

更新日 : 2014年07月28日

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Römerberg Ostzeile

市庁舎前のレーマー広場 (C) Tourismus+Congress GmbH Frankfurt am Main



伝統とモダン、芸術とビジネスが融合するフランクフルト

Frankfurt am Main

フランクフルトの摩天楼(C)Keute, Jochen / Deutsche Zentrale für Tourismus e.V.

フルダからICEで約1時間もすると、今回の旅の終着点となるフランクフルトに到着する。
ドイツ連邦銀行や欧州中央銀行の本部、証券取引所などが置かれているフランクフルトは、ドイツのみならず、ヨーロッパ経済の中心。ドイツには珍しい現代高層建造物が建ち並ぶ一方、マイン川の両岸には14もの美術館が連なる文化都市でもある。
中でも日本でも人気の高いフェルメール作品「地理学者」や、レンブラントからピカソにおよぶ豊富な絵画コレクションを誇るシュテーデル美術館が有名である。

フランクフルトが文献に登場するのは、時のフランク王国の支配者カール大帝が、「フランコノフルト」と呼ばれていたこの地で、教会会議を開いた794年のこと。これはヨーロッパ史において、非常に重要な出来事となった。カール大帝の治世時代にフランク王国は最盛期を迎え、その版図は最大に達した。カール大帝が「ヨーロッパの父」と呼ばれる所以がここにある。2014年はそのカール大帝の没後から、ちょうど1200年目に当たる。

東フランク王の宮廷は、1356年に神聖ローマ帝国皇帝の公選挙が行われた大聖堂の近くに置かれ、そこにあった宮廷礼拝堂が、現在の聖バルトロメウス大聖堂の紀源となっている。その後、フランクフルトの経済は、マイン川の水運と大規模な見本市によって大きく発展し、1372年には帝国自由都市となって様々な特権を取得した。この繁栄は現在にも引き継がれているが、政治面においては1848年の革命まで、フランクフルトは特に重要な舞台となった。

伝統とモダン、芸術とビジネス、そして喧騒と静寂の融合という、様々な側面を持つ大都市フランクフルト。ヨーロッパの他都市には見られない「フランクフルトの摩天楼」は、今も成長を続けている。


ゲーテの生家と博物館

Goethe-Haus

ゲーテの生家(C)Tourismus + Congress GmbH Frankfurt am Main

フランクフルトを語る上で忘れてはならないのが、文豪ゲーテの存在である。
1749年8月28日、神聖ローマ皇帝閣下正顧問官であった父ヨハン・カスパー・ゲーテと、フランクフルト市長の娘であった母カタリーナ・エリザベートの子供として、この世に生を受けたヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ。フランクフルトは、そんなゲーテの生まれ故郷である。

ゲーテは、レーマーベルクに程近い生家で16歳まで過ごした。経済的にも豊かで、かつ朗らかな家庭で、のびのびと育てられたというゲーテ。教養に富んだ父は、ゲーテに幼い頃から様々な教育を施そうとする少々厳格な一面を持ち合わせていたようだが、母のカタリーナは常に前向きで明るく、想像力豊かな芸術的センスを持ち合わせた、心優しい女性だったと言われている。

そうした恵まれた環境にあった幼少期のゲーテが最も楽しみにしていたのは、母が毎晩読んで聞かせてくれた物語の数々。母は一度に物語を全部読み聞かせてしまうのではなく、ストーリーが面白くなってきたところで「続きはまた明日」と話を止めたことから、幼いゲーテは様々な結末を想像しながら眠りについたそうだ。ゲーテの豊かな想像力はきっと、こうして育まれたのであろう。

ゲーテの生家は第二次世界大戦によりダメージを受けたが、戦後忠実に復元され、そこに疎開させていて無事だった家具や調度品が戻された。館内にはゲーテ誕生の部屋や、ゲーテが『若きヴェルテルの悩み』などの作品を執筆した部屋などが公開されており、18世紀のドイツの中流階級の優雅な暮らしぶりが垣間見られる。また生家には、ゲーテの胸像や肖像画などが展示されたゲーテ博物館が併設されている。

旅のアドバイス

Frankfurt-Flughafen

フランクフルト空港(遠距離)駅

今回の「ゲーテ街道」の旅は、このフランクフルトで終着となる。フランクフルト中央駅から空港駅へは、列車もしくはSバーンを利用して10分ほどで到着する。

フランクフルトにある美術館などをじっくり観たい場合は、やはりフランクフルトに1~2泊したいところだが、今回利用したターキッシュ・エアラインズは、フランクフルトからイスタンブールまで1日5便前後運航しており、フランクフルト市内の交通もかなり便が良いことから、夕方便を利用すれば、最終泊をフルダにした場合でも、朝早くフルダを出れば(駅のロッカーに荷物を預けるなどして)駆け足での観光は可能だ。

ちなみにターキッシュ・エアラインズを利用する場合、同社のシステムの関係もあってか、早い時間に空港へ行ってチェックインを済ませ、スーツケースなどの荷物を預けることはできない(カウンターが空いていても、早すぎるという理由で断られる)ので、駅や空港のロッカーの利用がお勧めだ。

ザクセン、チューリンゲン、そしてヘッセンへと繋がるゲーテ街道は、ドイツでも特に自然が豊かな美しいエリア。そのためこの街道を走り抜けるICEからは、春には菜の花畑、夏には深い緑、秋には黄葉、冬には雪景色など、四季折々の車窓が楽しめるのも大きな魅力となっている。ゲーテ街道沿いの町々の奥深い文化とともに、そうした風景も是非お楽しみ頂きたい。
なお、レイルヨーロッパ・ジャパンでは2014年7月現在、お得な「ジャーマンレイルパスの25%オフキャンペーン」(予約購入は2014年9月29日まで)を実施している。今すぐパスをゲットして、誕生から25年を迎えた「ゲーテ街道」の旅に出かけてみてはいかがだろうか。


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