アドリア・アルペンの旅 ~クロアチアからスロヴェニアへ

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スロヴェニアの片田舎で




360度に拡がるパノラマ


クロアチアのザグレブから鉄道でスロヴェニアのラシュコに着き、スロヴェニア第一のやはりラシュコというブランドのビールで遅い昼食を済ませる頃に、友人のチベツコ氏が現れた。

今来た道をこの国の首都であるリュブリヤーナ行きが分かれるズダニ・モストまで戻り、更にザグレブ方向に少し戻ったボシュタニという村の、465mと少し登った小高い丘の上にあるナ・フルーという山小屋風のレストランに案内された。

新鮮な空気、360度に拡がるパノラマ。生憎ここ数日天気が変わり易く、昨5月12日(1995年)の、最近クロアチア軍によって解放された、西スラヴォニア地区訪問の時のように時々夕立が襲ってくる。夏の天気のようでもあり、未だ十分気温が上がっていないので、エイプリル・ウエザーといった冷たさもある。遠く山影は紫に雲に溶け込んで、何とも言えぬ景観である。

ここでまたまたサラミと干し肉の前菜に、一種のチェリー・ブランディと少し発泡したように見えるこの土地特産の赤ワイン「ツヴィチェック」が運ばれる。大皿に盛られたこの料理を見て、先ほど食べたスパゲティが何とも残念である。

しかし結局はこの後にスープ、シュヴァイネブラーテンと次々に平らげたのだから、やはり美味しいものには目がないのだろう(シュヴァイネブラーテンは代表的なドイツ料理で、豚肉に塩と胡椒をたっぷりと振りかけマリネートしたものを、熱い油で熔った料理である)。

余りの満腹をもて余して、前方の小山の上にそびえ立つ教会まで傘を持っての散歩である。山の登り口の所から木立の間を縫って走る小さな道の所々に、キリスト像やマリア像が彫れた石碑が点々と立てられていた。ドイツでいうクロイツヴェーク(十字架の道)である。キリストが処刑された時に十字架を背負って歩いた、その同じ距離を、信者たちがその苦しみを偲んで歩くために作られた道で、その道筋には当時を偲ぶ絵や彫刻が置かれている。ドイツの田舎ではよく見かける風景である。


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