永遠の魅力ーグルメ天国 中国の郷土料理
1997年7月1日に香港は中国に返還される。
正確には1997年6月30日の真夜中の零時を過ぎると、英国の植民地ー香港は消滅して「中華人民共和国香港特別行政区」に変わっているのである。
99年間の期限つきで英国が中国から租借していたのは新界だけで、香港島は英国に永久に割譲されていたのだから、条約上からいえば香港島は返還の対象外ということになりえた。
しかも、英国は力による奪取であることを認め、租借した新界だけでなく英国に割譲された香港島もいっしょに、つまり、いわゆる「香港」をそっくり中国に返還することになったのである。しかし、中国は返還後といえども50年間は香港の高度な自治を認め、今までどうり香港独自の資本主義体制が維持すると約束している。
ところで返還後の香港観光はどうなるであろうか? はたして、ショッピングだ、中国料理だと日本から年間170万人近い(1995年は1,691,238人)観光客がおしよせる東南アジアきってのポピュラーな観光地「香港」は今までどうりの人気を維持できるだろうか?
今までとはまるで違った政治的環境の中におかれる香港は、観光的にも大なり小なり、中国の意向をうかがいながら、様変わりするのではなかろうか?
香港の観光促進に、その最も衰退していた時期から人気をとりもどすまで14年以上にわたり心血を注いできた私にとっては、大いに気になるところである。
なんとか『香港』の観光というアイデンティティを保ちながら、発展を続けていってほしいところである。しかし、返還を契機として香港観光協会は(この名前は残るとしても)新しいビジョンのもとに、その活動範囲は広められ、文字通り香港だけの観光にかかわっていくということはありえないように思われる。
返還後の香港観光協会は、むしろ、小さな殻にとどまることなく、国際観光の分野では極めて若い中国に対し、長年にわたり築き上げた実績がもたらす、世界的にみても極めて高いレベルにあるノウハウを提供しながら、中国大陸をも含めた、あらゆる意味で広範囲な観光開発・促進に、また、同様に、国際観光ビジネスのオペレーションそのものの近代化、もしくは西欧的に、大いに指導的な役割を果たすべき立場にあると思う。
しかし、香港に課せられた将来の役割とか使命とかはさておき、ここでは『香港』そのものの観光はどうなるのか先ず考えて見たい。そのためには、現在、香港はどんな観光的『売りもの』に依存しているかを知らねばならない。次に、それらの観光的魅力が将来にわたり『売りもの』であり続けるか、香港観光をとりまく環境の変化が『売りもの』をどう変えようとしているのかなど、1997年の中国への返還という大きな転換期を目前にした現在、不確定要素が多い中で、あえて香港観光の『売りもの』の将来を予測してみたい。
まずは「食」の魅力から。